本研究では,化石燃料枯渇に伴う代替エネルギー需要ならびに東日本大震災に伴って急速に進行する脱原発の流れの中で,エネルギー源としての需要増加が見込まれるジメチルエーテル(DME),圧縮天然ガス(CNG),液化天然ガス(LNG),バイオマス燃料の各インフラシステムの有するリスクに関し,トラブルの発生,進展に関するシナリオの抽出,リスクの推定,評価を行い,従来システムとのリスク比較を実施することにより,エネルギー転換に際してのリスクトレードオフに関する検討を行った。 これにより,従来型のエネルギーインフラから代替/再生可能エネルギーに転換する際のリスクならびに社会受容(Public Acceptance)の検討が可能となることから,我が国の復興に向けたエネルギーの安定供給ならびに事業の安定かつ健全な継続計画(BCP)策定を通して,安全・安心かつ持続的な社会の構築に資する情報を発信することを目的として関連情報の調査,検討,実験,解析,評価を行った。 代替エネルギーとしてDME,CNGおよびLNGの各システムのリスク評価を実施し,更なる安全高度化のために必要とされる安全システムについて抽出,指摘を行うことができた。新エネルギーとしては再生可能エネルギーであるバイオマスを取り上げて,それらのプロセスについてリスク分析を行い,化石燃料,原子力によるエネルギーとのリスクトレードオフ分析を行った。LNGについてはオンショア(陸上)施設のモジュール化工法を,バイオマスについては木質系バイオマスによる液体燃料化プロセスをそれぞれ提案し,最適化設計を行って分析した。これらの結果を基に社会受容性について検討を行うことにより,新時代におけるエネルギー政策策定の基礎資料とするとともに,安全・安心イノベーションにつながる技術と方法論の創出を行った。
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