研究課題/領域番号 |
25282106
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
大谷 俊博 湘南工科大学, 工学部, 教授 (60454154)
|
研究分担者 |
平尾 雅彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80112027)
田淵 正明 独立行政法人物質・材料研究機構, 高温材料グループ, グループリーダ (60354239)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | クリープ / 非線形超音波 / タイプ4損傷 / 非接触計測 / 損傷評価 |
研究概要 |
目的:高Crフェライト系耐熱材料の溶接熱影響部(HAZ)のクリープ中の非線形超音波特性の変化を調べることを目的とした.電磁超音波共鳴法(EMAR)による2つの非線形音響特性:共鳴周波数の振幅依存性の変化(NRUS)と3波相互作用による振幅)を計測した.使用したEMATは板厚方向に横波を発生する体積波型EMATである.クリープ進行に伴う2つの非線形超音波量と材料の組織変化の検討を行った. 実験方法 供試材は, 板厚25mmのGr.91鋼および板厚30mmのGr.122鋼の板材である.供試材を母材としたH開先の溶接継手をガスタングステンアーク溶接により作成した.PWHTは,Gr.91溶接継手は745℃,60min, Gr.122では750℃,75 min.で行った.大型平板溶接継手試験片(L-welded joint) を製作し,Gr.91溶接継手は600℃,90MPa, Gr.122では600℃,100MPaの条件で,所定の時間までクリープ試験を行い, 中断材を作製し,溶接継手試験片から板厚が約3.5mm程度になるように切り出し,室温にてHAZ近傍で板厚方向の超音波特性(非線形超音波、超音波減衰および横波音速)の測定を行った. 実験結果: NRUS,非線形3波相互作用法ならびに超音波減衰は,初期から寿命の40%まで減少した後,その後増加していった。非線形超音波量の変化は、転位密度の変化とボイド発生に伴う組織変化によって引き起こされていると考えられ,硬さの変化からも裏付けることができる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたEMATの基本設計のために,送信する超音波の周波数,コイル形状,磁石の仕様を決定し製作し、さらに,すでにクリープ試験(ASME Gr.91, Gr.122)をし組織観察を終えている試料を用いて非線形音響量の計測を実施した. 非線形超音波量の変化が転位組織の変化とクリープボイドの発生に関係する組織変化によることが分かった.非線形超音波計測器の仕様を決定し発注し、期末には実験に使用しようすることができた.
|
今後の研究の推進方策 |
高Crフェライト系耐熱材料の溶接継手を含む試験片を製作し、2種類のクリープ試験 1)1本の試験片で、ある時間クリープをさせ、室温にて超音波計測を、それを破断まで繰り返す 2)複数の試験片をクリープさせ、クリープ時間の異なる途中止め材を製作し、超音波特性を計測後、組織観察をする. 以上の研究により,EMAR法を用いて耐熱鋼のクリープ損傷中の非線形音響量:①高調波の発生,③共鳴周波数の移動 ④混合した周波数の応答,の相関関係とクリープ損傷中の微細組織の変化との関係を明らかにする.
|
次年度の研究費の使用計画 |
計測機器が当初計画したものより安く購入ができたため、物品費が抑えることができた。また、研究打ち合わせを当初2回を予定していたが、1回のみで済むことができた。 当初予想より、興味深い研究成果が出たので、本年度は海外の国際会議で発表することにしたため、その旅費等に充填を計画している。
|