研究課題/領域番号 |
25282111
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鷺谷 威 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (50362299)
|
研究分担者 |
橋本 学 京都大学, 防災研究所, 教授 (20293962)
大木 聖子 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40443337)
広田 すみれ 東京都市大学, メディア学部, 教授 (90279703)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 地震長期評価 / 地震ポテンシャル / 地殻変動 / リスク認知 / リスクコミュニケーション / 地震確率 |
研究実績の概要 |
地殻変動データから地震ポテンシャル評価を行う際に重要な非弾性歪みの影響や地震サイクル中における地殻変動の時間変化を見積もる方法について検討し、一定の知見を得ることができた。また、従来の長期評価手法や表現手法について考察し、その問題点を整理した。 2014年4月にカリフォルニア大学ロサンゼルス校を訪問し、現地の研究者が開発した地震発生確率評価手法の日本のデータへの適用を試みた.また,最大規模の地震の評価手法について文献調査を実施し、地震調査委員会長期評価部会に報告した.主として、衛星搭載合成開口レーダー画像を用いて、日本の平野部の地盤変動を推定した.また,2014年11月22日に発生した長野県北部地震に伴う地殻変動を「だいち2号」のSAR画像から求め、すべり分布と震源断層傾斜角を推定した. 地震動予測の確率を人々がどう認知するのか,その認知と防災意識,防災行動とにはどのような関係があるのかを,ウェブ調査にて実施した.調査に際しては,回答者の確率に関するリテラシー,居住地の地震動予測確率,日頃の備えを区分し,ファクターごとの影響が測れるように注意した. 地震の長期予測の方法の概略と、伝達方法に関する米国等の公開方法の情報を収集し、また国内で現在ウェブ実験に利用可能な予測に関するリソースを検討し、これに基づいてH27年2月末に複数のコミュニケーション手法を比較する効果測定のウェブ実験を実施した。またさまざまな形式での確率的リスク情報に対する認知の論文を出版した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現行の長期評価手法の問題点を整理し、今後の方向性について研究分担者間で合意を得ることができた。 海外の例にならった長期評価手法の開発が進捗している。また、社会調査を実施し、確率評価の受け取られ方に関する知見が蓄積しつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
地殻変動を考慮した長期評価手法をまとめ、実際のデータに適用して長期評価結果をまとめる。また、UCLAで試みた地震発生確率評価手法を長期間の測地測量データに適用し,確率評価を試みる.さらに,実際の地震活動と比較検討し、手法の評価を行う. 平成26年度の調査結果をふまえ,確率表示が人々の防災行動に結びつくような表現のあり方,低確率が人々の防災行動を抑制しないような表現のあり方を明らかにする 平成27年3月のフォローアップ調査を実施し、2月実施の実験とフォローアップ調査を分析する。内容は日本心理学会や日本社会心理学会、Society for Risk Analysisで報告予定。また予算の範囲内で可能であれば追加調査を企画・実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の1名が出産したため、出張や会議を取りやめた。また、社会調査を一部延期したため、次年度使用額が生じた
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度の未実施分については、年度前半に実施する。年度後半には当初の予定通り全体で成果の取りまとめを行う。
|