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2014 年度 実績報告書

地震減災と環境負荷低減を実現する丸太杭による既設戸建住宅の液状化対策

研究課題

研究課題/領域番号 25282115
研究機関飛島建設株式会社技術研究所

研究代表者

三輪 滋  飛島建設株式会社技術研究所, その他部局等, 特別研究員 (60443636)

研究分担者 中城 康彦  明海大学, 不動産学部, 教授 (30286009)
加用 千裕  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50550183)
吉田 雅穂  福井工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90210723)
中井 正一  千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90292664)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード液状化対策 / 木材 / 戸建住宅 / 減災 / 環境調和型都市基盤整備
研究実績の概要

平成26年度は,研究計画のそれぞれのテーマに関して研究を進めた.宅地に適した液状化評価法・地盤調査法に関しては,丸太打設液状化対策工法の施工地点で,標準貫入試験に加えて各種のサウンディングを行い,それらの適用性を検討した.簡易な手法で,精度よく液状化対策効果の評価を行うには,いくつかの課題があることも判明し,適用していく上での注意点をまとめるデータが蓄積された.丸太による既設戸建て住宅の液状化対策工法の開発に関しては,振動台実験による検討を推進し,データを蓄積した.また,振動台実験だけでは効果の定量的な評価にはデータが不足するため,数値解析による検討を並行して行い,定量的評価のためのデータを蓄積した.小型の施工機械による施工は十分可能ではあるが,丸太の圧入にはどうしても機械の重量がある程度必要であり,既設住宅間の非常に狭いエリアでの施工には困難が伴うことも判明した.
丸太による液状化対策の環境・経済面での有効性の検証では,いくつかの施工地点での実際の炭素貯蔵量を算定し,炭素貯蔵量データの蓄積と炭素貯蔵量原単位の検討を進めた.また,丸太を用いた構造物のライフサイクルでの炭素貯蔵と経済的効果の検討も実施した.
戸建て住宅の液状化対策を推進する制度の研究に関しては,不動産の購入などを行う際にさまざまな情報がどのように入手できるか,日本と欧米での土地・建物の評価の仕方を比較・検討し,さらに,住宅の持続的維持管理の観点からの住宅の継続的維持管理に関わる検討,また維持管理のための追加的投資を誘引する社会的仕組について検討を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

宅地に適した液状化評価法・地盤調査法の提示に関しては,これまで,実際に丸太打設液状化対策を実施した地点における地盤調査結果の蓄積に努めた.最終年度は,これらを分析することで,適切な評価法・地盤調査法の提示,簡易な手法を適用する場合の課題や注意点をまとめる予定である.
丸太による既設戸建て住宅の液状化対策工法の開発については,これまでに,振動台実験や数値解析により,定性的・定量的な効果を示すデータの蓄積を行った.それぞれの実験で実験条件が必ずしも一致していないことなどから,最終年度は系統的な実験および数値解析を行うことでより定量的な効果の評価に結び付けたい.また,施工に関しては,ある程度の小型機械での施工は十分可能なことを確認しているが,丸太圧入にはどうしてもそれなりの機械重量が必要であり,既設戸建て住宅が隣接するような非常に狭隘な場所での施工には課題があることも判明した.どの程度まで施工できるかといった点を明らかにしていく予定である.
丸太による液状化対策の環境・経済面での優位性の検討においては,これまで実際の施工地点において,炭素貯蔵量のデータを蓄積してきた.これらにより,施工によりおおよそどの程度の炭素貯蔵が可能かは予測可能となった.また,ライフサイクルの面からも検討を進めつつある.経済的な効果についても直接的なもの間接的なものの整理分析を進めている.
戸建て住宅の液状化対策を推進する制度に関しても,現在の不動産価値を決める要因の分析,日本と欧米での不動産価値の評価の違いを検討し,どういう制度が望ましいかの検討を進めつつある.
以上,研究は,いずれもおおむね計画にそった進捗状況であるといえる.

今後の研究の推進方策

最終年度の平成27年度は,これまでの研究を継続し,定量的な評価を目指すとともに,成果のとりまとめを行う.
宅地に適した液状化評価法・地盤調査法の提示に関しては,これまで蓄積したデータを基に分析を行い,適切な評価法・地盤調査法の提示,簡易な手法を適用する場合の課題や注意点をまとめる予定である.
丸太による既設戸建て住宅の液状化対策工法の開発については,系統的な実験および数値解析を行うことでより定量的な効果の評価に結び付ける.また,施工に関しては,既設戸建て住宅が隣接するような非常に狭隘な場所での施工がどの程度までできるかといった点を明らかにしていく予定である.
丸太による液状化対策の環境・経済面での優位性の研究に関しては,これまでの成果を取りまとめる.また,ライフサイクルの面からの検討もさらに進める.
戸建て住宅の液状化対策を推進する制度の研究のうち,液状化を考慮した不動産評価法の検討と提言は,検討をさらに進め,成果を取りまとめる.公的助成制度や保険の可能性についてもこれまでの検討の成果を取りまとめる.
以上の,研究成果を総合して取りまとめ本研究の成果とする予定である.

次年度使用額が生じた理由

最終年度に,条件を合わせた系統的な実験および数値解析を実施することを計画したため.

次年度使用額の使用計画

条件を合わせた系統的な実験および数値解析を実施する費用に充てる.

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (10件)

  • [雑誌論文] Carbon balance in the life cycle of wood: targeting a timber check dam2015

    • 著者名/発表者名
      Chihiro Kayo, Ryu Noda, Takanobu Sasaki, Shinya Takaoku,
    • 雑誌名

      Journal of Wood Science

      巻: Vol.61, Issue 1 ページ: 70-80

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Evaluation of CO2 emissions reductions by timber check dams and their economic effectiveness2014

    • 著者名/発表者名
      Ryu Noda, Chihiro Kayo, Takanobu Sasaki, Shinya Takaoku
    • 雑誌名

      Journal of Wood Science

      巻: Vol.60, Issue 6 ページ: 461-472

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 中古住宅流通促進のための建物評価の課題2014

    • 著者名/発表者名
      中城康彦
    • 雑誌名

      資産評価政策学会 資産評価政策学

      巻: 15巻2号 通巻27号 ページ: 24-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 追加投資を誘引する社会的な仕組みのあり方2014

    • 著者名/発表者名
      中城康彦
    • 雑誌名

      一般社団法人日本住宅協会 住宅

      巻: Vol.63 ページ: 8-17

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 丸太を用いた戸建住宅の液状化対策工法に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      村田拓海,吉田雅穂,五十島康平,三輪滋
    • 雑誌名

      第14回日本地震工学シンポジウム論文集

      巻: 14 ページ: 550-558

    • 謝辞記載あり
  • [学会発表] 丸太打設による既設戸建て住宅の液状化対策の数値解析による検討2015

    • 著者名/発表者名
      筒井雅行,三輪滋,沼田淳紀,村田拓海
    • 学会等名
      土木学会第70回年次学術講演会
    • 発表場所
      岡山市(岡山大学)
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-18
  • [学会発表] 二階建て集合住宅の液状化対策事例における炭素貯蔵量2015

    • 著者名/発表者名
      村田拓海,沼田淳紀,三輪滋,筒井雅行
    • 学会等名
      土木学会第70回年次学術講演会
    • 発表場所
      岡山市(岡山大学)
    • 年月日
      2015-09-16 – 2015-09-18
  • [学会発表] 既設戸建住宅の基礎に丸太を連結する液状化対策に関する模型振動実験2015

    • 著者名/発表者名
      吉田雅穂,坂下和也,三輪滋
    • 学会等名
      第50回地盤工学研究発表会平成27年度発表講演集
    • 発表場所
      札幌市(北海道科学大学)
    • 年月日
      2015-09-01 – 2015-09-03
  • [学会発表] 東北地方太平洋沖地震における杭基礎被害の要因分析に向けた検討(その1 杭基礎被害の概要)2014

    • 著者名/発表者名
      中井正一, 金子治, 阿部秋男, 飯場正紀
    • 学会等名
      日本建築学会2014年度大会学術講演会
    • 発表場所
      神戸市(神戸大学)
    • 年月日
      2014-09-12 – 2014-09-14
  • [学会発表] 米国における住宅の不動産鑑定評価制度- 米国の中古住宅取引制度に関する研究その22014

    • 著者名/発表者名
      中城康彦,齊藤広子,小川清一郎,関栄二
    • 学会等名
      日本建築学会2014年度大会学術講演会
    • 発表場所
      神戸市(神戸大学)
    • 年月日
      2014-09-12 – 2014-09-14
  • [学会発表] 既設戸建住宅の液状化対策における丸太の打設方法に関する実験的検討2014

    • 著者名/発表者名
      吉田雅穂,五十島 康平,村田拓海,三輪 滋
    • 学会等名
      土木学会第69回年次学術講演会
    • 発表場所
      大阪府豊中市(大阪大学豊中キャンパス)
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-12
  • [学会発表] 丸太打設液状化対策工法における炭素収支原単位2014

    • 著者名/発表者名
      沼田淳紀,筒井雅行,三輪滋,三村佳織,池田浩明
    • 学会等名
      土木学会第69回年次学術講演会
    • 発表場所
      大阪府豊中市(大阪大学豊中キャンパス)
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-12
  • [学会発表] STUDY ON LIQUEFACTION COUNTERMEASURE TECHNIQUE BY USING LOGS FOR EXISTING RESIDENTIAL HOUSES2014

    • 著者名/発表者名
      M. Yoshida and T. Murata
    • 学会等名
      12th International Conference on Geo-disaster Reduction
    • 発表場所
      Fullerton, California, U.S.A.
    • 年月日
      2014-09-05 – 2014-09-06
  • [学会発表] 強震記録に見られる東北地方太平洋沖地震における液状化地盤での震動特性の変化2014

    • 著者名/発表者名
      関口徹, 中井正一
    • 学会等名
      第49回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      北九州市(北九州市国際会議場)
    • 年月日
      2014-07-15 – 2014-07-17
  • [学会発表] 丸太を用いた既設戸建住宅の液状化対策に関する模型振動実験2014

    • 著者名/発表者名
      村田拓海,吉田雅穂,五十島康平,三輪 滋
    • 学会等名
      第49回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      北九州市(北九州市国際会議場)
    • 年月日
      2014-07-15 – 2014-07-17

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公開日: 2016-06-01  

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