研究課題/領域番号 |
25282117
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松岡 昌志 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (80242311)
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研究分担者 |
三浦 弘之 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30418678)
越村 俊一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50360847)
佐藤 俊明 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50567146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 防災 / リモートセンシング / 自然災害 / 画像 |
研究実績の概要 |
本研究では,東日本大震災および諸外国での被害地震・津波を観測した画像を用いて,既往の被害抽出制度の向上を目的とした新たな画像処理手法の開発を進めると共に,即時性を重視した手法の簡便化と定量化を行い,そして,災害対応期における大量かつ異種データを効率良く利用する枠組みとして,複数のセンサから得られる被害抽出結果の標準化に基づく統合処理モデルを提案することを目的としている。今年度は,津波や台風と対象に,合成開口レーダ画像からの津波浸水域の判読と建物被害の定量推定手法の高精度化に取り組んだ。また,合成開口レーダ画像(SAR)と光学センサ画像を統合した浸水域の抽出手法を提案した。具体的には,光学センサ画像にSpectral Mixture Analysis(SMA)を適用して洪水や津波による水占有率を明らかにし,さらに,SARとの比較に基づき,後方散乱係数から水占有率を定量的に推定するモデルを提案した。東日本大震災や台風Haiyanに適用することで手法の検証を行った。また,レーダの波長や衛星からの照射角と土地被覆および水占有率の関係を検討したところ,波長が短いほど水と裸地の分離性が高く,水占有率の推定の精度が高くなることが明らかになった。そして,照射角と後方散乱係数は依存することから,照射角が異なる場合には水占有率の推定モデルを改良する必要があることを示した。さらに,UAV等を用いた被害域の3次元モデル抽出を目的に,Structure from Motion(SfM)技術を航空写真に適用した場合の復元精度を確認し,夜間での応用を念頭に高感度カメラ画像の利用可能性について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SAR解析の高度化については,当初は都市の3次元モデル作成およびシミュレーションを予定していたが,都市内の建物の形状をモデル化することなく,後方散乱係数のみから建物外壁の損傷を類推する手法を提案できたため実施する必要がなくなった。また,光学センサ画像処理手法の開発と高度化については,瓦礫を模擬した実験および瓦礫抽出の最適手法構築を予定していたが,2014年に発生した広島県土砂災害の実例に置き換え,土砂や瓦礫抽出についてコンピュータビジョンの手法の適用性を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
被災地を観測した航空写真やUAVからの被害抽出に関連して,UAVで得られた画像からの3次元モデルの復元性を定量的に評価する実験を行い,近年の被害地震の画像に適用して被害調査報告等と比較することで,簡便かつ汎用性のある被害抽出手法を構築する。また,熱赤外カメラについては調達困難なため,夜間等での情報収集を目的に,高感度カメラの利用可能性について検討する。画像処理結果の統合処理モデルの構築については,被害情報の更新アルゴリズムを検討すると共に複数センサの画像を3次元可視化システムに実装する予定にしている。
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