研究課題/領域番号 |
25282120
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
轟 朝幸 日本大学, 理工学部, 教授 (60262036)
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研究分担者 |
長田 哲平 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50436474)
荒谷 太郎 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (60610326)
平田 輝満 茨城大学, 工学部, 准教授 (80450766)
花岡 伸也 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90467027)
引頭 雄一 関西外国語大学, 外国語学部, 教授 (90636945)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 救援救助 / 空港 / 危機管理 / 減災 |
研究実績の概要 |
本年度は,大規模災害に対する高知空港の備えに関する実態調査,高知県における南海トラフ地震を想定した救援救助のシミュレーション分析を行った. 現地調査では,高知空港の被災状況によって救援救助活動の内容や場外離着陸場の活用方法が大幅に変更される可能性があることが明らかとなった.また,現地調査で明らかにした前提条件をもとに,南海トラフ地震による津波被害を想定したシミュレーションモデルを構築し,救助人数をシミュレーションにより分析した.被害状況や活動方法などについて複数シナリオの下で分析を行った結果,高知空港が利用可能であることにより,航空機の混雑が緩和され,救助人数を増加させる可能性があることが示唆された.そのため,津波や地震から高知空港を利用可能な状態にしておく対策が必要であることが考えられる. また,空港や自治体に対するヒアリングや各自治体が定める防災計画等の調査から災害時の航空機運用の特徴である「ヘリコプターの運航」や「管制化空港と非管制化空港(レディオ空港)での運航の差異」に関してその基本ルールや災害時の特殊運用方法を体系的に明らかにし,それらを基に,空港施設の配置・規模,発着航空機種等が災害時の空港容量に与える影響について定量評価する方法を開発した.開発した空港容量評価手法により,災害時の固定翼配置数や誘導路の特殊運用により空港容量がどの程度制約されるか評価を行った.これら結果は,施設規模や特殊運用の可否などを考慮した複数空港への機材配置や役割分担を検討する上での基礎情報として活用ができると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,(1)想定災害における空港の備えの実態調査,(2)最適化モデルの開発と仮想空港ネットワークを用いたキャリブレーション,(3)南海トラフ地震等を想定したモデル分析について研究を進めてきた.(1)については,若干不十分であるので引き続き他の自治体を含めて検討を行うこととする.(2)(3)については,シミュレーションモデルを作成し,関係者との議論を行ったため一定の成果を得たと考える.
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は,当初予定通り,(4)災害時の被災地空港運用のあり方に関する基礎的検討,(5)フォローアップ調査,(6) 広域災害時の空港運用方策に関する総合的な考察および提言について行うこととする.(4)については,H25年度及びH26年度の成果をもとに災害時の空港運用のあり方,その空港運用に配慮した空港整備のあり方,さらには近隣空港間の連携・役割分担のあり方について検討を行う.(5)については,(1)想定災害における空港の備えの実態調査について捕捉することとし,他の検討内容についても精査することとする. (6)については,これまでの研究成果を提言としてまとめ,調査に協力いただいた関係機関などにフィードバックする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年夏に予定していた調査出張が豪雨のために中止になり,計画していた出張回数が少なくなったため,基金の一部を翌年度分として繰り越した.
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次年度使用額の使用計画 |
H27年度は,物品等購入計画及び現地調査を計画的に進め,研究計画の進捗に支障が無いように当初に計画したH26年度予算とあわせて予算執行する予定である.
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