研究課題/領域番号 |
25282121
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研究機関 | 富士常葉大学 |
研究代表者 |
田中 聡 富士常葉大学, 環境学研究科, 教授 (90273523)
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研究分担者 |
重川 希志依 富士常葉大学, 環境学研究科, 教授 (10329576)
大原 美保 (吉村 美保) 東京大学, その他の研究科, 准教授 (70361649)
河本 尋子 常葉大学, 環境学部, 講師 (10612484)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 建物被害調査 / 復旧・復興工学 / インスペクション / タブレット型調査ツール / 調査トレーニング |
研究概要 |
平成25年度は、現行の被害調査プロセスにおいて調査員がおこなっている情報処理プロセスについて検討をおこなった。具体的には、建物被害認定調査を担当する自治体職員やビルの建物管理者などに対して、ヒアリング調査をすると共に、小千谷市の被災住宅や新宿高層ビルにおける防災訓練において実際に建物を調査し、図面をプロトコルとして、その情報処理過程を記録した。その結果、紙の図面では、被害の表記方法がバラバラで、調査結果の再現性に大きな問題があることがあきらかになった。そこでこの課題を克服するために、デジタルカメラとタブレット端末による調査ツールのプロトタイプを開発し、小千谷市の被災住宅や新宿高層ビルにおける調査訓練において試用した。その結果、課題となっていた調査結果の再現性や損壊箇所と損壊写真とのリンクが可能となり、調査の客観性が向上することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の当初の研究計画では、①現行の被害調査プロセスにおいて調査員がおこなっている情報処理プロセスの解明、②市民の図面を用いた情報処理能力の解明、③調査ツールのプロトタイプの開発、の3点をあげていた。平成25年度は、調査員および建物管理者などの関係者の情報処理過程を分析するとともに、得られた結果を反映して、デジタルカメラとタブレット端末による調査ツールのプロトタイプを開発し、被害調査訓練に適用するなど、おおむね当初計画の項目は網羅している。さらに、これらの結果を数編の学術論文として発表しており、研究はおおむね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度の結果を受けて、判定のばらつきを最小化するために、判定基準と判定プロセスの比較による判定アルゴリズムの分析を行うとともに、ことなる組織による調査の重複を回避し、データが蓄積できる仕組みとして、データフォーマットの共通化やクラウドサーバーを用いたデータの蓄積など方法などを検討する。 さらに、小千谷市被災建物、新宿区高層ビルを用いた建物被害調査訓練を引き続き実施し、これらの場を用いて開発した調査ツールのプロトタイプシステムの改良をおこなうとともに、その使用性についての検証をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度は、国際学会への発表等のために外国旅費の使用を予定していたが、建物被害調査訓練などの予定と重なったため、外国出張が取りやめになったため、この費用を次年度使用とした。 平成26年度は、アンカレッジで開催される米国地震工学会議において、建物被害データの活用法に関するワークショップに参加予定であり、この旅費として使用する予定である。
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