研究実績の概要 |
電子スピン共鳴(ESR)イメージング装置のデータ取り込みと画像化、および、模擬(ファントム)試料と皮膚疾患サンプルを用いた2次元イメージング測定と画像化を試みた。 模擬試料は、安定ラジカルである 1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl (DPPH)で作成した。このDPPHファントム試料による測定で磁場勾配の強さ等を見積もり、ファントム画像の解析を行った。また、画像処理用ソフトで観測データを2次元画像にする試みをした。 また、皮膚試料のESR測定と2次元イメージング測定を進めた。スピンプローブは、一鎖型脂肪酸である5-DSA(5-doxylstearic acid)を使用した。シアノアクリレートで皮膚角層をガラス板(4 mm x 7 mm)に貼り付けた後、約50μMのスピンプローブ液を採取角層に滴下し37 ℃の恒温で約60分インキュベーション後、蒸留水で過剰なスピンプローブを洗浄除去し、ESR測定を実施した。尋常性乾癬の結果は、健常者の値と比較検討した。また、提供のあった皮膚疾患に対する薬剤の効果を測定したところ、治療後のスペクトルはコントロールのスペクトルとほとんど同じで塗り薬による皮膚構造の改善が、ESRスぺクトルから確認できた。 更に、ファントムや脂溶性スピンプローブで前処理した皮膚サンプルを用いた2次元イメージング測定を行い、測定データを画像化した。得られた結果から皮膚乾癬では、角層構造的に特異な部位があることが画像から判別できた。これらの結果は、すでに、皮膚科学の学術誌に発表した。
|