研究課題/領域番号 |
25282131
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
村瀬 研也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50157773)
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研究分担者 |
吉岡 芳親 大阪大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00174897)
木村 敦臣 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70303972)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ナノ」粒子メディスン / 磁気粒子イメージング / 磁気温熱療法 / 磁気送達法 / 温度感受性リポソーム / 細胞追跡法 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、磁気粒子イメージング(MPI)法の高分解能及び高感度化を実現するための要素技術を確立することである。まず、現有のMPI装置を基に磁性体ナノ粒子の分布を高分解能で可視化するための新規データ収集法及び画像再構成法を開発し、本法の有効性や精度をコンピュータシミュレーションやファントム実験により検討する。また、高感度化を実現するため種々の粒子径や磁化特性をもつ磁性体ナノ粒子を新規に合成し、開発したMPI装置で空間分解能や感度を測定してMPIに適した磁性体ナノ粒子の特性を探索する。更に、磁性体ナノ粒子を赤血球やリポソームに封入したMPI用造影剤を新規に開発し、また胆がんマウス等を用いた動物実験を行って本法のナノ粒子メディスンへの応用の可能性や問題点を明らかにする。 本年度は、主として開発した磁気粒子イメージング法の磁気温熱療法や磁気送達法への応用を担がんマウスを用いて検討した。まず、担がんマウスの腫瘍部に磁性体ナノ粒子を直接投与し、その後交流磁場を印加して磁気温熱療法を行った。その際、交流磁場を印加する直前、直後、1日、3日、7日そして14日後にMPI撮像を行い、腫瘍部のMPI画素値を計測した。並行して、腫瘍体積を毎日計測して腫瘍成長率を求め、MPI画素値の平均値や最大値との相関を検討した。その結果、両者には有意な負の相関が観られ、MPIを用いて磁気温熱療法の治療効果を予測できる可能性があることが見出された。次に、担がんマウスの腫瘍部に磁性体ナノ粒子を投与した後、腫瘍部に磁石を接触させた群と磁石を使用しない群を作成し、磁性体ナノ粒子を投与直後、1日後、3日後そして7日後にMPI撮像を行って腫瘍部のMPI画素値を計測した。その結果、腫瘍部に磁石を接触させた群のMPI画素値の平均値は、磁石を使用しない群に比較して有意に高い値を示し、MPIが磁気送達法の有効性評価に使用できる可能性があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、主として磁気粒子イメージング法の磁気温熱療法や磁気送達法への応用の可能性について検討した。当初、これらは次年度に行う予定であったが、研究が当初の計画以上に進展しているため、今年度に前倒しして行った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画以上に進展しているため、次年度以降の研究を前倒しにして研究を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定した装置の性能が、予定していた予算よりも大幅に低い予算で達成することが出来たため、次年度使用額が「0」よりも大きくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分として請求した研究費と合わせた予算によって装置の性能の向上と実験結果の信頼性や再現性の検証のために使用する計画である。
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