研究課題/領域番号 |
25282135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
須藤 亮 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20407141)
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研究分担者 |
谷下 一夫 早稲田大学, 付置研究所, 教授 (10101776)
牛山 明 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (60291118)
三高 俊広 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50231618)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生体工学 / 組織工学 / マイクロ流体デバイス / 三次元培養 / 血管化 / 肝臓 / 血管 |
研究概要 |
本研究では、組織工学・再生医工学において課題となっている毛細血管網を有する三次元組織の再生に関して、マイクロ流体システムを用いて生体工学の立場から取り組んでいる。平成25年度は、2チャンネルおよび3チャンネル型のマイクロ流体システムを用いて間質流を制御し、3次元肝組織を血管化する最適な微小環境構成法を検討した。具体的には以下の研究成果が得られた。 ①マイクロ流体システムの作製: ソフトリソグラフィーによってマイクロ流路およびコラーゲンゲルを有するマイクロ流体システムを作製した。特に、培養の際には、マイクロ流路間に圧力差を形成することによってコラーゲンゲルを浸透する間質流を起こし、微小培養環境における対流・拡散を制御した。その結果、間質流によって毛細血管網を誘導できることを見出した。 ②細胞配置の時間的・空間的な制御: マイクロ流体システムにおいて肝細胞と血管内皮細胞の共培養に取り組んだ。肝細胞については三次元組織形成の観点から、血管内皮細胞については毛細血管網形成の観点から培養条件の最適化を行った。特に、間質流によって毛細血管網の形成を誘導し、その後で肝細胞をマイクロ流路に追加する手法によって細胞配置を時間的・空間的に制御することで、毛細血管網と三次元肝組織を融合させるための共培養モデルを作成することができた。 ③2チャンネル型および3チャンネル型マイクロ流体システムにおける三次元肝組織血管化の検討: 2チャンネル型および3チャンネル型のマイクロ流体システムを作製し、上記の実験を行い、2チャンネル型と3チャンネル型での血管形成および血管化のプロセスについて比較検討した。その結果、2チャンネル型システムでは間質流によって血管形成を誘導し、3チャンネル型システムでは肝細胞からの分泌物によって血管形成を誘導できることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の計画は、2チャンネル型と3チャンネル型のマイクロ流体デバイスを作成し、特に血管形成の観点から3次元肝組織を血管化する最適な微小環境構成法を検討することであったが、当初に予定通りに進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画をさらに発展させ、肝細胞組織と毛細血管網の融合を図る。また、実験結果における再現性の確認、定量的評価を行うことに加え、血管化複合肝組織の構造を詳細に調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究で使用するシリコンモールドの微細加工が予定していたよりも効率的に進み、関連する試薬・器具を節約することができたため。 今後の研究において微細加工するシリコンモールドの改良型をデザインする予定であり、その加工に要する費用に充当する。
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