研究課題/領域番号 |
25282140
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
太田 信 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (20400418)
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研究分担者 |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
小林 尚俊 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダ (90354266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ステント / 内皮細胞 / 最適化 / 表面処理 / PIV |
研究概要 |
脳内出血の主原因である脳動脈瘤の破裂に対し,金属製メッシュでシリンダー状のステントと呼ばれる医療機器による血管内治療が注目されている.特に近年開発されたフローダイバータステントは,脳動脈瘤への血流流入を阻害する高機能化ステントの代表であるが,異常出血が報告され問題となっている.これらの抜本的解決策として,治療の最終目標である内皮細胞で瘤ネックをカバーできるステント開発のため,流れがある状態におけるステント表面の細胞付着状態を調べる.コンピュータシミュレーションと,インビトロ実験及び動物実験結果とを比較することによって,細胞付着に影響を与える流れのパラメータ抽出を行うことを本研究の目的とする.本研究の成果は,今後のバイオアクティブな医療機器開発に応用が可能な知見になる.今年度は,ステント最適化設計シミュレーションプログラムの完成,ステント表面処理の有無による内皮細胞増殖の変化などを観察することができた.そして,プログラムを用いて,実際のステント開発に必要な条件を盛り込んだ状態で最適化シミュレーションを行ったところ,設計指針となる重要な条件を発見するに至った.さらに,ステントの最適化設計によって従来のステントの血流低下能力を維持したまま空隙率を十数%改善される可能性があることを示すことができた.また,ステント表面処理の有無による内皮細胞の増殖に関して,ステント表面処理によりステントの後方に存在する内皮細胞の増殖にも影響を及ぼしている可能性が示唆された.これらの知見からは,さらなる最適化ステント設計の指針を打ち立てることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ステント最適化設計用計算プログラムの完成,ステントの表面処理の有無における内皮細胞の変化を捉えることができたことなどが,大きな成果である.これらの達成は26年度中と考えていたので,当初の計画以上に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を受け,ステントを実際に作製して動物に留置する実験を行うことを最大の目標にする.この実験結果により,インビトロ実験結果との比較を行えるようになる.ステントの作製には,水レーザを使うことによってバリの少ない作製を行うことができると考えている.さらに,ステント表面処理に関してさらに研究を進め,内皮細胞がより確実に増殖し血管自体をカバーできるような表面処理方法を進める.具体的にはトマトレクチンを考えている. 最適化設計シミュレーションでは,目的関数に血栓化促進を検討する.これによって瘤内の血栓化促進と親血管の血栓化回避が検討できる最適化設計指針を見つける.
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次年度の研究費の使用計画 |
計算機実験において,計算結果が妥当だったため,当初予定していた動物実験の回数を減らすことにより,未使用額が発生した. 計算により,動物実験の回数を減らせることが分かったので,より高速に計算ができるよう,クラスター計算機の購入を予定するなど,平成26年度請求額とあわせ,平成26年度の研究遂行に使用する予定である.
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