研究課題/領域番号 |
25282149
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
梅村 晋一郎 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20402787)
|
研究分担者 |
吉澤 晋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30455802)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 医用超音波工学 / 超音波治療 / 集束超音波 / 超音波エコー / 超音波イメージング / 加熱凝固 / 後方散乱 / 熱変性 |
研究実績の概要 |
集束超音波治療に代表される非観血的治療においては、術者が治療目的組織を肉眼視できないので、治療目標を照準し、治療過程を監視するイメージングが不可欠である。現在、臨床的に集束超音波治療に組み合わされているのは、超音波イメージングとMRIであるが、それぞれ問題を有しており、本質的には優れた集束超音波治療の迅速な臨床的普及を妨げている。MRIは、非観血的に温度をマッピングできるという特長をもつが、装置が著しく大きく高価である。一方、超音波イメージングは、音速分布の影響を自動的に補正し、比較的安価に実時間イメージングができるという特長をもつが、温度マッピングが原理的に困難である。そこで視点を変え、治療目的組織の熱凝固自体に着目し、その実時間マッピングを実現することが、本研究の目的である。そのためには次のような課題を克服すべきである。(1)マイクロ気泡が生じない条件でも熱凝固により超音波散乱が変化することが判明したが、その変化は臓器依存ではないのか? (2)HIFU治療では意図的または偶発的にマイクロ気泡を生ずることがあるが、その場合でも熱凝固の検出は可能か? (3)動きの検出を前提とした手法なので撮像断層面上の動きに強いことは自明であるが、3次元的な動きの影響は3次元撮像によって除けるか? (4)HIFU照射中にHIFU信号の影響を抑えながら休みなく超音波エコー信号取得できないか? 26年度は、意図的にマイクロ気泡を発生させるHIFU照射シーケンスにおいて、超音波による熱凝固を、マイクロ気泡と識別して検出できることを、前年度導入したプログラマブル超音波イメージング装置を用いて実証した。すなわち、課題(2)を解決することに成功した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究着手時に目標とした課題(2)の解決、すなわち、意図的にマイクロ気泡を発生させるHIFU照射シーケンスにおいて、超音波による熱凝固を、マイクロ気泡と識別して検出することに成功した。これも含めて、研究着手時に目標とした課題の半分を、これまでに解決していることは、研究の順調な進展を示している。
|
今後の研究の推進方策 |
27年度は、(1)の課題を解決すべく、上記の意図的にマイクロ気泡を発生させるHIFUシーケンスにおける、超音波エコーによる熱凝固検出が、トリ胸肉のみでなくブタ肝臓等においても可能であることを確認する実験を行う予定である。 また、(3)の課題を解決すべく、64~128×2~4チャネルの1.5次元アレイ・プローブを試作し、加熱凝固対象組織が撮像断層面から外れる3次元的な動きをする場合においても、超音波エコーによる熱凝固検出が可能であることを確認する実験を行う予定である。 これらにより、本研究の課題をすべて解決すべく、研究を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
26年度に計画した研究を進めるにあたり、研究費総額の半分以上を、実験に必要な物品費として計上したが、比較的高額の物品を購入するための仕様の決定に予想より長い時間が必要であったため、実際の購入を27年度にするよう計画を変更したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
27年度に購入をするよう計画を変更した比較的高額の物品(超音波プローブ特注品)を購入する予算の一部に充当する計画である。
|