研究課題/領域番号 |
25282156
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
栗田 雄一 広島大学, 工学研究院, 准教授 (80403591)
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研究分担者 |
辻 敏夫 広島大学, 工学研究院, 教授 (90179995)
惠木 浩之 広島大学, 病院(医), 講師 (20403537)
永田 和之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 知能システム研究部門, 主任研究員 (10357634)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンピュータ外科 / ヒューマンインタフェース / 力覚・触覚 / 医用工学 |
研究実績の概要 |
力覚提示の課題について,3Dプリントにより生成した3次元モックアップ臓器に対して,画像ならびに力覚の両者をプロジェクションするシステムを構築した.画像は,ミニプロジェクタを使って仮想的な腫瘍を投射したり,拍動する心臓の動画を投射したりできる.力覚は,力覚提示装置と力センサを利用して,鉗子先端が臓器に接触したことを感知すると,その位置に応じて力覚提示デバイスから反力が生成される.これをドライボックス型トレーニングシミュレータと統合することで,トレーニングシステム型プロトタイプを製作した.さらに,骨格筋電気刺激装置を利用して,人に力覚感を与える課題にも挑戦し,適切な電気刺激を与えることでユーザにかたさ感を与えることができることを確認した.知覚向上の課題について,これまでに構築した受容器発火ネットワークモデルを用いて,人に与えるべき理想的なノイズ強度について,パラメータを変更しながら,知覚向上効果を網羅的に調べた.また人の指先内の触覚受容器の構成にあうように受容器発火ネットワークを改良した.性能評価の課題について,鉗子操作における知覚向上効果について,触感閾値ならびに力制御精度の観点から調べる実験を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
力覚提示の課題について,これまでに製作した形状をもした模擬臓器に,画像ならびに力覚の両者を同時投射するシステムの開発を行い,トレーニングシミュレータのプロトタイプを製作することができた点で大いに進捗があった.さらに骨格筋電気刺激装置を利用した硬さ感呈示システムを開発することができた.知覚向上の課題について,現象レベルで確認されていた鉗子操作時の知覚向上が,シミュレーションでもその性質を再現・評価できる可能性が示された.これをもとに,適切な振動強度について探っていく.性能評価の課題について,ベテランレベルの腹腔鏡外科専門医においても,鉗子操作時の触感閾値ならびに力制御精度が向上することが確認できた.これは実用面を考えると非常に意味のある結果といえる.以上のことから,当初の計画以上に順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度として,力覚提示ならびに知覚提示のそれぞれについて性能評価を行い,開発したプロトタイプの評価を行う.力覚提示の課題について,製作したシステムの評価を行うために,システムが出力する応答の正確性に関する評価を行うとともに,装置利用時ならびに非利用時のそれぞれで被験者に使用感に関する感性アンケートを実施し統計的解析を行うことで,提案システムの有効性を評価する.知覚向上の課題について,H27年度に作成した触覚受容器応答シミュレータを用いて鉗子操作時に与えるべきノイズ強度に関する考察を行う.また実際にその強度の振動を生成できるバイブレータを装着した手術用外科鉗子を利用した被験者実験を行い,両者の結果を比較することで,シミュレータによる知覚向上効果の予測ならびに理想振動強度を計算する手法の開発ならびに評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費について,見込みよりも安価に購入できた.また実験について,謝金なしでの実験を多く実施したため,見込みよりも支出が少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度が最終年度であるため,製作したシステムを評価するための実験消耗品購入に使用するとともに,学会発表を積極的に行うことで,成果発信に努める.
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