研究課題/領域番号 |
25282161
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
山本 紳一郎 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (30327762)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 理学療法学 / ニューロリハビリテーション / バイオメカニクス / 二関節筋 |
研究概要 |
日本ではのべ約20万人が脊髄損傷(対麻痺)を抱えて生活しており,また,日本の脳血管障害の死亡率は年々減少しているものの,後遺症として片麻痺を抱え生活している人は,約200万人と減っていない.高齢化社会をむかえ,特に片麻痺者は増加する傾向があり,訓練を支える理学療法士不足も懸念される.それゆえ,近年のリハビリ工学的研究では,ロボット技術を用いた訓練システムを開発している研究者も多い.しかしながら,近年の臨床研究では,ロボット技術を用いた訓練が果たしてどれだけの効果が得られるのかを疑問視する報告もあり,その効果は明らかになっていない.このような現状を踏まえて,本研究はニューロリハビリテーション(以下,ニューロリハ)の概念に基づいて,様々な運動機能障害者の症状に対する多様な訓練処方を可能とするより訓練効果が期待できる免荷式歩行訓練システムを開発することを最終目標とする. 昨年度まで,以前の科研費を原資として空圧式人工筋肉を用いた試作機を開発しており,研究成果を報告してきたが,これまでの開発では実際に臨床研究に試行するには至っていない.本研究課題によって,開発コンセプトに適合したハード・ソフトの再検討と詳細設計,人工筋肉(特に二関節筋)の最適な制御および自動学習モデルの検討を新たに進めている.本年度は,装具部および免荷部,制御部各々の開発チームを結成し,これまでの歩行訓練装置の問題点を洗い出し,役割分担し,再設計案を検討してきた.その結果,新たな装具部を試作でき,一部の制御系構築が実現できたが,免荷部の設計が遅れており,試作できていない進捗状況である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たな装具部の試作が完成し,その制御系の構築も概ね良好な成果をあげている.しかしながら,免荷部の設計が遅れており,まだ試作に取りかかれない状況であることから,「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に試作した装具部および位置フィードバック制御系の動作実験および評価を実施する.さらに,麻痺筋を想定した制御モデルの構築や自動運動学習モデルの適用についても着手する.また,免荷部の改良設計が遅れていることから,こちらに注力し,試作に取りかかり,上下運動の影響が大きかった従来の免荷部との入れ替えを目指す.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初見込まれていた免荷部の設計が遅れており,それによる物品費の支出が少なかったこと,およびそれにより必要であるはずだった設備備品費の支出がなかったことが大きく影響していると思われる. 本年度は,昨年度中に試作できなかった免荷部の改良設計を進め,それに伴う機器費の支出も見込まれる.また,国際学会発表による旅費および被検者謝金は,当初の予定通り支出される見込みである.
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