研究課題
骨組織に対する力学的刺激は骨形成を促進するため、運動刺激の有無が骨量、骨強度の変化に関連するが、その効果は加齢により異なる傾向にある。平成28年度では、若齢期および高齢期ラット下肢骨を用いて、骨への力学的刺激と神経系の影響について検証した。若齢期および高齢期ラットを用いて神経遮断し、阻害剤投与群と非投与群を設けた。また力学的刺激を実施する群および非実施群を設けた。骨の構造解析については、3次元マイクロCT撮影を行い、立体構築した後3次元構造解析ソフトにて骨量、骨梁幅、骨梁数、骨梁間距離、骨梁連結密度を定量した。組織形態計測を行い、骨形成指標のひとつである類骨形成を顕微鏡にて観察した。また、骨の力学的特性の検査には骨破断強度試験を実施し、Maximum load、stiffness、elastic modulus等を計測し、関節トルク発揮レベルの確認も行った。その結果、若齢期では、力学的刺激効果は骨量および骨構造に関しては海綿骨領域では観察され、その効果は神経遮断阻害群で軽減した。一方皮質骨領域では力学的刺激効果がみられなかった。しかしながら骨の力学的特性に関しては効果が認められ、また、骨組織への力学的刺激により骨細胞から産生され石灰化に関連するdentin matrix protein (DMP)-1のimmunoreactivityは高いレベルにあり、量的よりも質的因子に影響する可能性が示唆された。高齢期においては、海綿骨骨量および骨構造に関しては、同様に力学的刺激効果は認められるがその程度は若齢期よりも小さく、さらに阻害効果も小さかった。高齢期ではメカノセンサー候補である骨細胞密度、神経分布密度が低下しており、また海綿骨と皮質骨の領域差も見られた。これらの結果から、骨への力学的刺激効果は神経系や骨細胞密度の影響を受けるが、加齢や骨組織の領域により異なることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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