研究課題/領域番号 |
25282166
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
別府 英博 (別府 秀彦) 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 准教授 (30142582)
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研究分担者 |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (80267955)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳卒中回復期リハビリ / リハ運動訓練 / 生体成分 / 遊離アミノ酸 / 微量検体分析 / 質量分析 / 遺伝子産物 / UPLC |
研究概要 |
B6-wob/tは、小脳プルキンエ細胞の変性脱落による小脳萎縮でありその結果、小脳失調性運動障害のマウスとしてSCD患者に類似する病態を示す有望な候補である。回転かごによる強制運動を負荷した当該マウス運動有群は運動無群に対し、経時的にrotarod試験により判定された筋協調運動の改善がみられた。よって、申請者らは、運動の介入で歩行失調の改善に有効であると結論づけH25年度の研究を以下のように計画した。 1)運動負荷運動による、筋肉、小脳、大脳の遺伝子産物(タンパク質)および遊離アミノ酸の解析。血中の内臓疾患マーカーの検索および解剖組織標本・病態生化学的解析を行うなど体液成分から病態の進行を判定する。また原因遺伝子を特定する。 2)遺伝子解析を行い原因遺伝子の特定を行い、SCD患者との相同性を解析する。またモデル動物としての遺伝子改変を行い、遺伝病の診断の応用を検討する。 その結果、1)筋肉、小脳における2次元電気泳動後のプロテオーム解析において、筋肉では、対照のB6マウスに対しアクチンの発現に減少する差が示唆された。小脳においては、雌雄に差は無かった。生後10日齢と6か月齢に差がみられた、リン酸化されたタンパク成分がみられた。それらは高分子タンパクに散見された。さらに小脳、大脳、橋・延髄中の遊離アミノ酸の解析においては、生後5、10日齢において、対照のB6マウスよりも大きく変動するアミノ酸がみられた。2)次世代シークエンスマウスExomeデーター解析の結果、B6-wob/tのホモHom wo/wo に対しヘテロHet wo/- およびB6 Wild type+/+に変異の差の候補がいくつか挙げられたが、ヒトのSCD患者に関連する遺伝子情報は今回得られなかった。今後、追試を行い再現性を確認したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究計画の、1)当該マウス用歩行解析装置および重心動揺計を製作し、下肢重錘負荷、膝装具、バンテージ処方の効果の検証を行い、体躯の位置、負荷重量・強さなどのパラメーターを決定する。 2)運動負荷運動による、筋肉、小脳、大脳の遺伝子産物(タンパク質)および遊離アミノ酸の解析。血中の内臓疾患マーカーの検索および解剖組織標本・病態生化学的解析を行うなど体液成分から病態の進行を判定する。また原因遺伝子を特定する。 3)遺伝子解析を行い原因遺伝子の特定を行い、SCD患者との相同性を解析する。またモデル動物としての遺伝子改変を行い、遺伝病の診断の応用を検討する。 4)リハ科専門医による当該マウスとSCD患者と類似する病態と特徴的な行動様式を抽出しパターン化する運動stageを作成する。 以上これらの研究の進展はおおむね進んでいるが、繁殖が進まず個体数が足りない現状にある。マウス用歩行解析装置および重心動揺計を製作はほぼ完成し、試験を開始するところである。筋肉・脳タンパク成分の解析はN数を増やし追加試験を行いたい。遊離アミノ酸の解析および遺伝子解析については、手法が確立でき、おおむね初期の目的は達成でした。リハ科専門医へのフィードバックは現在まだ行われていない。
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今後の研究の推進方策 |
H26年度は、当該マウス用歩行解析装置および重心動揺計を製作し、下肢重錘負荷、膝装具、バンテージ処方の効果の検証を行い、体躯の位置、負荷重量・強さなどのパラメーターを決定する。その後、週齢層別の各群の当該マウスに、模擬リハ訓練歩行負荷試験を行う。さらにRotarod、平行棒回転かご、平行棒試験を行う。また、病理標本および分子生物学的解析を行う。解剖・病理技術認定者(担当 研究所講師水谷、医療科学部准教授新里)により、小脳、大脳、筋肉の一般・特殊標本。2次元電気泳動-LC/MS・MS解析(東工大林准教授)、UPLC-MS解析(玉井)、遺伝子解析(別府・倉橋)など、病態生化学的手法・分子生物学的手法で、当該マウス運動群、非運動群の遺伝子産物の特定およびその原因物質の発症関連成分を解析する。リハ患者のリハ訓練前と訓練後の血清を用い2次元電気泳動-LC/MS・MS解析も先行研究を行っているので、その結果との整合性を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
人件費の調整費用として余剰されていた予算が実績に対し3,398円多かったこと、他施設の分担研究者において11,771円の余剰分が調整出来なかったことにより、合計15,169円が次年度に繰り越しとなった。 これらは、H26年度の物品費に計上し、研究費用に充てたい。
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