研究課題/領域番号 |
25282173
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
福井 和広 筑波大学, システム情報系, 教授 (40375423)
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研究分担者 |
岡崎 彰夫 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (20516679)
加藤 伸子 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (90279555)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 指文字 / 手話認識 / 画像認識 / 動画像認識 / インターフェース |
研究概要 |
連続手話からの指文字のスポッティング機能を実現するための要素技術である“動き形状類似度”の開発とその有効性の検証実験を行った.具体的には,既に開発済みの形状類似度に時間方向の情報を付加した特徴パターン(Time Elastic Random (TER)特徴)を定義し,これを用いて動きを伴う手形状同士の類似度を測る方法を開発した.ゼスチャー公開データベース(Cambridge gesture database,ChaLearn Gesture Challenge)を用いて,TER特徴に基づく動き形状類似度が,手形状の動き情報を的確に捉えつつ,時間方向の局所伸縮に対しても頑健であることを確認した. 入力距離画像から安定して手領域を抽出し,正規化画像を切り出す方法を開発した.またKinect からの手の距離やカメラ視野内での位置を容易に把握できる距離メータをモニタ上に配置し,「もっと近く」,「もっと離れて」,「画面中央へ」,「その位置です」の4 種類の誘導メッセージを表示するようにした.これらの方法を以前の研究で開発した指文字練習システムに適用した結果,入力部分空間の生成の安定性が高まり,指文字認識の精度および安定性が向上した. できるだけ多くの形状情報を含む多視点距離画像セットを取得するためのKinect距離センサの配置,および手形状の呈示位置の検討を行った.検討の結果,液晶モニタの上部に下向き約20度に向けて配置し,センサから60~70cm辺りの距離に手を呈示するのが最も効果的であることが分かった.ただし,今後,利用可能となる新型Kinectを使用する際には今回の結果を参考にして配置を再検討する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
システム構築に関しては当初の計画よりもやや遅れているが,スポッティング機能を実現するための要である,動き形状類似度の有効性が検証できており,今後の開発に目処が立っている点を鑑みると,概ね計画通り進んでいると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,TER特徴の抽出処理の高速化を進め,動き形状類似度の算出速度を向上させる.動き形状類似度に基づいたスポッティング機能単体の性能評価を進め,システムへの搭載に向けての解決すべき課題を洗い出す.他の要素技術についてもアルゴリズム改良,および高速化を行いつつ,システムへの組込を進めていく.併せてシステム総合評価のためのシナリオ検討も行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画では,TER特徴を適用する識別器として,線形相互部分空間法を想定していたが,性能評価を進めるにつれて,線形相互部分空間法に替えて,非線形相互部分空間法を適用した方が,より高い性能が得られることが分かってきた.しかし,非線形識別相互部分空間法は線形相互部分空間法に比べて計算量が格段に大きくなるために,実システムでリアルタイム動作させるためには,識別処理の高速化という新たな問題が生じた.それに対応するために,研究計画,特にシステム構築に掛かる計画の変更が必要となった. 当初予定していたシステム構築のための機材購入,および研究成果の発表に掛かる諸費用として使用する.
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