研究課題/領域番号 |
25282175
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宮島 美穂 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70616177)
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研究分担者 |
藤原 幸一 京都大学, 情報学研究科, 助教 (10642514)
山川 俊貴 熊本大学, 大学院先導機構, 助教 (60510419)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | てんかん発作予測 / てんかん発作検知 / 心拍変動解析 / ウェアラブル心拍計 / QoL向上 |
研究実績の概要 |
1. 発作兆候検知アルゴリズムの改良 前年度に引き続き、全般てんかん患者および局在関連てんかん患者の発作周辺期と発作間欠期の心拍データを採取した。データ数の増量により、multivariate statistical process control(MSPC)および、one class support vector machine(OCSVM)によるクラスタリング手法を用いたアルゴリズムを強化した。これにより、解析対象とした、局在関連てんかん患者における14回の発作全てが、1分以上前に検出可能であった。 一方、体動や呼吸、睡眠による心拍変動の変化によると考えられる偽陽性判定の多さが目だった。このため睡眠ステージの同定や行動モニタリングを追加し、これらを考慮した再評価を行った。その結果、脳波による発作兆候検知の先行研究と概ね同等の値である、偽陽性0.53回/時という結果が得られた。 2. 発作兆候検知システムの実装試験 1)システム試作: 上述の発作兆候検知アルゴリズムをAndroidアプリケーションとしてアプリ化し、小型タブレット端末にて使用可能とした。アプリを搭載した端末を、ウェアラブル心拍計とBluetooth接続し、持続的な心拍変動モニタリングが可能なウェアラブルシステムを構築した。 2)システム実装試験:東京医科歯科大学医学部附属病院および、国立精神・神経医療研究センター病院にて、ビデオ脳波検査を受けるてんかんの入院患者を対象に、一人当たり半日~3日程度のシステム実装試験を開始した。安全性およびウェアラビリティに大きな問題はないことが確認された。一方で、接続バッテリー持続時間の不足や接続不良などの課題も明らかとなった。このためデバイスおよびアプリケーションの改善を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発作兆候検知過程においては、データを増やし、さらに睡眠や体動等の影響を考慮して解析方法を改善し、より精度を高めるとともに、実用に即した信頼性のある結果が得られた。 システム実装試験を年度内に開始した。システムの動作、利便性などに改善すべき点があり、被験者数は予定より少なくなったものの、問題点のフィードバックを行ってデバイスを改良し、実装試験を継続した。
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今後の研究の推進方策 |
1. アルゴリズムの精度をさらに向上するために、てんかん患者のデータをさらに増やし、加えて健常者、非てんかん患者の対照データを大量に導入する。このため、東北大学等3施設を新たに研究協力施設に追加し、データ提供を受ける。
2. システム実現を想定し、一般入院患者や外来患者を対象に組み入れ、システム実装試験を拡張する。これらの結果をフィードバックし、引き続きシステムの改良を繰り返す。
3. 得られた成果を、適宜、学会・専門雑誌・マスメディアなどで発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入の使用額調整の関係で少額の残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度、電極等の消耗品の購入に充てる。
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備考 |
【受賞】 (1)計測自動制御学会 システム・情報部門 SSI 2014 奨励賞 藤原幸一 (2)計測自動制御学会 2015年制御部門大会賞 藤原幸一,山川俊貴,加納学,鈴木陽子,宮島美穂
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