研究課題
本年度は、てんかん発作予兆検知アルゴリズムの性能改善のため、心拍データベースに多数のてんかん患者を追加し、更に健常者のデータも追加して、改良モデルを構築した。その結果、アルゴリズムに用いるモデル構築に際して、患者のみのデータの代わりに健常者のみのデータを用いても性能が大きく変化しないことが判明した。これにより、収集が困難な患者データの代わりに多量の健常者データを用いてより優れたアルゴリズムが構築できる可能性が開かれた。臨床現場における発作予測システムの実装試験も引き続き進め、実施件数は入院・外来患者計117名に達した。並行して、患者の日常生活で利用できるシステムの実現を見据えて、ウェアラビリティがより高いシャツ型電極の開発を進めた。近年、Closed-loop型治療と呼ばれる新しいてんかん発作治療システムが提唱されている。これは、患者の生体情報を持続的にモニタリングすることにより発作を予測し、神経刺激や即効性の抗てんかん薬などによる発作前のオンデマンド介入を行うことで、個々の発作に対する予防的介入を行う方式である。本研究に関しても、発作予測の目的を、患者の安全確保だけでなく、Closed-loop型治療におけるオンデマンド介入にも広げていきたい。今後はこのClosed-loop型治療に特化した設計の改良アルゴリズム、およびウェアラビリティの高いシャツ型電極を組み合わせたより機能的、実用的なシステムの完成を目指し、薬事申請を目指したい。本研究の成果は、第50回日本てんかん学会English presentation賞、2016年度計測自動制御学会技術賞、第49回市村学術賞功績賞(平成28年度末時点で内定)の各賞を受賞し、客観的に高い評価を受けた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEEE Transactions on Biomedical Engineering
巻: 63 ページ: 1321-1332
10.1109/TBME.2015.2512276