申請者らは,最優先で対策が必要であるといわれる視覚障害者への配慮に関するJIS化にこれまで長年関わってきている.しかし,今後急増する中途視覚障害者も含めてより多くの視覚障害者が利用可能である浮き出し文字のIS化に向けて,触読し易い浮き出し文字の実証データが十分ではない.そこで本研究では,浮き出し文字の触読性に関する客観的な実証データを国内外において収集することを目的とする.実験Ⅰでは,実験Ⅰでは中途視覚障害者を想定した晴眼若年者及び高齢者を対象とした浮き出し文字の触読性を評価した.実験Ⅱでは先天盲視覚障害者を対象とした浮き出し文字の触読性を評価した.実験Ⅲでは,実験Ⅰ及び実験Ⅱの結果を踏まえ,外国人の被験者を対象とした浮き出し文字の触読性を評価する実験を行い,浮き出し文字の触読性の国際比較を行った.本研究を通じて得たこれらの結果は,浮き出し文字を設計時や類似の規格を検討する際に有用な知見となるであろう.
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