研究課題/領域番号 |
25282184
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研究機関 | 日本女子体育大学 |
研究代表者 |
定本 朋子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (30201528)
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研究分担者 |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エストロゲン / プロゲステロン / 内頸動脈 / 外頸動脈 / 椎骨動脈 / 流量依存性血管拡張作用 / 二酸化炭素反応性 |
研究実績の概要 |
月経周期に伴う自発性のエストロゲン(E2)プロゲステロン(PG)の変動が,上腕動脈流量依存性血管拡張作用(FMD)と左側の総頸動脈(CCA),内頸動脈(ICA),外頸動脈(ECA)および椎骨動脈(VA)の血流量に及ぼす影響を正常月経の若年女性(10名)において検討した.4動脈の脳血流量およびFMDは超音波ドップラー法により計測した.4~5週間の月経周期間において,2~3日間の間隔で12~15回の採血および血流測定を継続した.その結果,E2は卵胞後期で最大濃度に達し月経期の10倍以上となった.PGは黄体期から上昇し,黄体後期で最大濃度に達し,月経期の30倍以上になった.FMDについては(8名のデータ),E2が最高値になる卵胞後期がピーク値を示していた.一方,E2とPGの有意な変動とは対照的に,CCA,ICA,ECAおよびVAにおける血流量はいずれも月経周期間を通じて有意な変動を示さなかった.脳血流量には左右差があるため,右動脈での検証が必要であるが,左半球で計測した安静時脳血流量はE2およびPGの変動による有意な影響は見られないと考えられた. さらに別の若年性女性(4名)を対象として,右側のICAおよびVAにおいてCO2反応性を検討した.月経周期の影響は,前述した性ホルモンの実験結果から,月経期,卵胞後期および黄体後期という3期における比較とした.被験者数を増やして検討する必要があるが,CO2反応性にも月経周期の影響は明確ではなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
超音波プローブの故障により,脳動脈におけるCO2反応性の測定が4名の被験者のみとなった.この実験においては遅れをとっているといえる.しかし,交付申請書に記載した目的に沿って,次年度に予定していた実験を前倒しして実施することにした.具体的には右側の4つの動脈(総頸動脈,内頸動脈,外頸動脈および椎骨動脈)の月経周期に伴う血流変動の計測である.26年度内に既に4名分の実験を終了した.同じく,次年度に集中的に実施したいと考えていた血流依存性血管拡張機能(FMD)についても,すでに8名の実験を前倒しして終了した.以上のような実験の進捗状況を総合的に考えると,全体スケジュールとしては概ね順調と思われる.
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今後の研究の推進方策 |
左右脳半球の代謝レベルの相違が脳血流反応に違いをもたらせると推察されることから,月経周期に伴う性ホルモンの影響も左右の脳動脈間で異なると推察される.この点の実験をあと6名程度追加する予定である. CO2反応性については,月経期,卵胞後期,黄体後期という3時期の実験データを取り漏らさないようにするため,各被験者の基礎体温と排卵検査を繰り返し実施し,月経周期の正確な情報を集積する.このような事前調査を徹底させて,実験を滞らないようにさせる.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の途中,超音波エコーのプローブが故障し,実験内容を変更したことによるためである.具体的には,次年度予定の実験を前倒しで行ったために,経費に変更が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
超音波プローブの購入費に充てる予定である.
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