研究課題/領域番号 |
25282185
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
長谷川 悦示 筑波大学, 体育系, 准教授 (80272227)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 体育教師教育 / e-Learning / 授業評価システム / 模擬授業 / 授業分析 / 映像視聴 / 授業省察 / 授業研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、クラウドコンピュータ上でのストリーミングサーバーと連動したe-Learning による体育授業評価システムの開発とそれを活用した授業実践研究ネットワークの構築を目的として、以下の二つの課題を設定した。1.筑波大学内での模擬体育授業について受講生が、授業の動画再生(ストリーミング)を視聴しながら、授業の組織的観察、授業評価及び省察データの分析・入力、自動的に集計、即時の出力(フィードバック)が、クラウドコンピュータ上で一元的に処理できる体育授業評価システムを開発する。2.学外での教員研修や体育研究校で実施される校内研究授業にこのシステムを活用して、現職教員の指導力研修を目的とする授業実践研究ネットワークの構築をめざす。 これまでの研究では対象者によって異なる3つの評価システム、つまり学部生用(UC2)、大学院生用(MC2)、評価項目自由設定型(DEV)を開発してきたが、平成28年度は特にDEV版の授業省察入力と表示方法を改良して、5月7-8日に実施した学内外から集まった200名以上の参加する模擬授業研修会に適用した。これらの実施によって改良版DEVシステムは、大学内での模擬授業に加えて、学外での校内研究授業に対しても適用可能であることが実証できた。 また「授業実践者ネットワークPetenet.jp」の試験的運用を茨城県北茨城市教育委員会との共同研究で実施することもできた。さらに27-28年度の挑戦的萌芽研究で開発を進めた「授業分析アプリLesson Study Analyst for Physical Education」をネットワークに協力する学校での校内研究授業に適用して、授業分析結果の即時フィードバックの妥当性・信頼性を確かめることもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
学内外での模擬授業に授業評価システムを活用することは、教員志望する学生にとっての教育効果を確認することができた。加えて5月に開催する大規模な模擬授業研修会や、北茨城市教育委員会と連携した市内小学校の研究授業を通して、授業映像を視聴しながら授業を振り返ることができる授業評価システムを活用した授業実践ネットワークは、現職教員を対象とする教員研修においても有益であることが確認できた。 学内模擬授業については、大学内から革新的教育プログラム事業の対象となり、模擬授業に対してTA・TFを配置する予算が確保された。
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今後の研究の推進方策 |
筑波大学内での学部・大学院の模擬授業にe-Learning授業評価システムを活用するだけでなく、学部生の教育実習期間中における授業評価システム内にある動画ギャラリー(映像と指導案がリンクしたライブラリー)の活用状況についても調査検討する。 平成29年度も研究協力・連携している学校や教育委員会(茨城県北茨城市)での授業研究を対象にして、開発した授業分析アプリをツールとする「Petenet,jp」の試験運用を推進する。 加えて、JICA筑波からの委託授業として実施する「学校体育研修」(7月10-29日)に参加するアジア・アフリカ諸国等(ブータン、ミャンマー、フィジー、ウガンダ、ブリキナファソ、マラウイ、エジプト、ボスニア・ヘルツェゴビナ)から参加する学校体育責任者に対する講習に授業評価システム(DEV)の活用を試みる。そのため英語版の開発を進める予定である。 これらの取り組みは、スポーツ庁が推進する「Sport for Tommorow」 運動の一環として、平成29年6月10日にタイ王国体育学会における基調講演で発表する予定である。これによって日本の体育授業をアジア諸国ならびに海外に紹介することにつながることを期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の革新的教育プログラム事業として研究対象の授業に予算が当てられたため、システム運用費と人件費が節減することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
システム開発・改良ならびに実践者ネットワーク構築費として充当する予定である。
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