研究課題/領域番号 |
25282189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中込 四郎 筑波大学, 体育系, 教授 (40113675)
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研究分担者 |
鈴木 壮 岐阜大学, 教育学部, 教授 (00115411)
中島 登代子 浜松大学, 健康科学部, 教授 (60325818)
奥田 愛子 びわこ学院大学, 教育福祉学部, 准教授 (70556000)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臨床スポーツ心理学 / アスリート / 心理サポート / 個性化 / 原風景 / メンタルトレーニング |
研究概要 |
本年度は、主に以下の3つの課題について研究資料の収集並びに分析、検討がなされた。それぞれの課題ごとに実施状況や成果の概要を述べる。1)アスリートの個性化過程における競技活動の意味:アスリートの心理臨床面接事例について検討し、競技場面で生じた心理的問題への取り組みが内的課題解決へと繋がっていった事例の提示を行った。青年期のアスリートの来談では、広義の自立やアイデンティティ形成と言った心理的社会的発達課題への取り組みが認められ、さらに競技場面での問題生起の背景に、それまでの競技活動との繋がりが認められ、また、それらの発達課題の解決に競技への取り組みが手がかりとなっていた。2)アスリートの「原風景」および「スポーツ原体験」:トップレベルのアスリートの自伝に記載されている原風景の分析ならびに一卵性ないしは二卵性双生児のアスリートの原風景やスポーツ原体験の異同の分析等を通じて、幼少期の体験がその後の競技活動へ及ぼす影響について明らかにした。アスリートの原風景には、多くが運動やスポーツ活動との関連性が認められ、原風景とスポーツ原体験とが重なっている者を認めることが出来る。3)競技力向上と内的成熟との関連性:内界探索型メンタルトレーニングプログラムに基づいたメンタルトレーニング講習会を開催し、心理テスト、描画作品、グループ箱庭作品、内省報告等を分析資料として両者の関係性につて明らかにした。 上記の課題については、次年度にもさらに継続して取り組むことになっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画した下位課題のうち主に3つの課題について取り組み、学会等で報告することができた。その他、各研究分担者が独自に受け持った下位研究課題についてもすでに着手しており、順調に進んでいると判断した。今後はそれぞれの研究成果を踏まえながら、本研究計画が目指す「臨床スポーツ心理学」の体系化をさらに実現すべく、研究者間での情報交換を促進しながらまとめていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、それぞれの心理臨床相談事例を持ち寄り、事例検討会を重ね、アスリートならびに競技世界の心性を明らかにしていく。そしてそこでの知見を基に、「スポーツカウンセリング」の特徴、心理支援での留意点、メンタルトレーニングとの異同、今後の課題、他を図書としてまとめる予定である。また、下位課題として設定した、スポーツ傷害の心理支援、そしてスポーツカウンセラー養成等の課題にも着手していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、研究代表者ならびに研究分担者4名の間で、研究打ち合わせや研究資料(相談事例)の分析等に必要とされる交通費ならびに国際学会での発表をひかえたため、当初予定額より執行額が少なくなった。 次年度は研究組織者間での研究打ち合わせそして研究資料の分析検討を目的とした会合を積極的に行う。また、次年度は、面接調査を行う事から、研究協力者への謝金ならびに交通費当の補填を目的として使用する予定である。
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