研究課題/領域番号 |
25282191
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
図子 浩二 筑波大学, 体育系, 教授 (70284924)
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研究分担者 |
三浦 健 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 講師 (10244279)
宮西 智久 仙台大学, 体育学部, 教授 (20285646)
岡田 英孝 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20303018)
卞 圭悟(大山圭悟) 筑波大学, 体育系, 准教授 (80312833)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スポーツ競技者 / 筋力 / パワー / トレーニング / アセスメント法 / 総合検診 / 開発 |
研究実績の概要 |
本研究では,各種スポーツパフォーマンスの構造モデル(設計図)や競技専門性,競技レベル,身体的特性,技術的特性などを考慮し,スポーツ選手の筋力・パワーに関する特性を客観的に評価診断するための総合検診システムを作成し,新しい筋力・パワートレーニングアセスメント法の開発を目指している。 研究成果としては,下肢の最大伸展力に加えて,1. 力の立ち上がり速度を計測し評価診断するための新しい装置を製作した。また,前年度には,2. ジャンプテストにおけるパフォーマンス変数に加えて,身体の座標点を自動的に読み取って演算処理を行い,即座に下肢関節のトルクやパワー,仕事を表示するバイオメカニクス検診システムを開発している。これらの装置は,液晶画面を用いた対話型操作を用いた設計になっているために,操作性かつ簡便さに優れており,即座にデータをフィードバックすることを可能にしている。 1. と2. の装置とともに,これまでにすでに開発が完了しているマットスイッチシステムを用いたマルチジャンプテスター,対話型地面反力計測装置を用いることによって,陸上競技の跳躍選手における下肢の筋力・パワー総合診断を行うとともに,定期検診としての縦断的な診断を繰り返し,その有効性について検討した。これまでの研究によって,スポーツ選手の筋力・パワー総合検診システムの測定評価の部分がほぼ完成したことになる。 各種の医療検診では,一度に多数の検診を行い,各個人のデータをこれまでに蓄積した標準値や異常値との関係を手がかりにしながら評価診断し提示するとともに,今後の生活や行動についての指導を行っている。それと同様に,今後は総合検診システムを利用して多人数のデータを蓄積し,各スポーツ競技におけるレベルや性別の違いに応じた標準値,各年齢別の基準値などを作成していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3年間の研究期間を設定し,1. 筋力・パワーにおける体系化モデルを再構築し,各要因を精度よく簡便かつ迅速に測定する指標と計測機器の開発,2. 基本的動作を自動に読み取り,下肢関節のトルクやパワーなどを即座にフィードバックできるフィールドテスト法と対話型分析機器の開発,3. 一回の検診の中で多項目を短時間に測定し,総合的に評価・診断する医療と同型の総合検診法の開発に取り組むことを目的としている。今年度の段階で,1. と2. に関してはほぼ達成できている。 これまでに最大筋力などの量的な指標に偏重し,筋の収縮様式や力の立ち上がり速度などの質的な評価診断はなされていなかった。しかし,今年度の成果として,立ち上がり速度を簡便に精度よく計測できる計測器機,マルチストレングステスターの開発に成功した。そして,前年度に完成させているバイオメカニクス検診システム,それ以前に開発済みであるマットスイッチシステムを用いたマルチジャンプテスター,対話型地面反力計測装置を同時に用いた検診を実施することによって,陸上競技の跳躍選手における下肢の筋力・パワー総合診断を行い,定期検診としての縦断的な診断も推進した。さらに,この検診で得たデータから,下肢の筋力・パワートレーニングに関して有益な知見を得ることができた。 以上のことから,自己点検による評価は,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,一回の検診の中で多項目を短時間に測定し,総合的に評価・診断する医療と同型の総合検診法の開発に取り組むという課題を設定している.そのために,下記の検診システムの構築に取り組む。筋力・パワーにおける総合検診を受けた後,得られた検査項目とデータをIT上の総合検診システムに入力すると,それぞれのデータは個人シートにまとめられて管理・保管されてデータベースに蓄積される。各種の医療検診では,一度に多数の検診項目と内容についての検診を行い,各個人の多数のデータを,これまでに蓄積したデータから理解できる標準値や異常値との関係を加味し医師が自らの見解を付して評価診断し提示するとともに,今後の生活や行動についての指導を行っている。 したがって,本研究によって開発された筋力・パワーにおける総合検診についても,同様な進行を目指して,一回の検診で多数の項目と内容を行い,各個人のデータを各スポーツ競技におけるレベルや性別の違いに応じた標準値,各年齢別の基準値などと比較検討し,トレーニング研究者が自らの見解を付しながら診断を実施し,今後のトレーニングを指導することのできるシステムを確立することを目指す。
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