研究課題/領域番号 |
25282195
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
福永 哲夫 鹿屋体育大学, 学長, 学長 (40065222)
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研究分担者 |
高井 洋平 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (20574205)
金久 博昭 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50161188)
吉武 康栄 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (70318822)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 生理学 / 運動生理学 / トレーニング科学 / スポーツ科学 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、平成25年度と同様の内容による横断的調査および平成25年度に測定した被検者の一部を対象に縦断的調査を実施し、それらの結果に基づき、筋量および筋力における競技選手の特徴について分析すると同時に、性差についても新たに検討を加えた。その結果、筋力・パワー系の選手は球技・持久系の選手に比べ除脂肪体重が大きく、前腕、上腕、大腿の筋断面積が有意に大きかった。その差は除脂肪体重あたりの筋断面積でみても同様であり、特に上肢の筋断面積における差が顕著であった。一方、筋断面積当たりの上肢および下肢の筋力には、筋力・パワー系の選手と球技・持久系の選手との間に差は認められなかった。これらの結果から、四肢筋量の分布状態には競技種目によって違いが生じ、筋力における競技種目差は、筋量の差に起因することが示唆された。 また、平成25年度において、四肢筋断面積における性差は下肢より上肢において顕著であることを明らかにしたが、本年度は筋力における性差について筋断面積との関係から検討した。その結果、四肢筋群の筋力における性差は、筋断面積と同様に下肢より上肢の筋群において顕著であったが、筋断面積当たりの筋力に性差は認められなかった。このような筋量・筋力における性差の部位差は、上肢筋群における女子選手のトレーニングの可能性の低さを示すものであり、その実際について縦断的調査(6ヶ月間のトレーニング介入)により検証した。その結果、トレーニング介入による四肢筋断面積の増加率は、下肢筋より上肢筋において低かった。今後、縦断調査の結果について分析例を増やす必要があるが、本研究の結果から、女性は男性に比べ上肢筋のトレーナビィティーが低いと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、平成25年度と同様に横断的調査と平成25年度に測定に参加した被検者の一部を対象に縦断的調査を実施した。その結果、除脂肪組織量における差を規格化したとしても、四肢筋断面積には球技・持久系選手と筋力・パワー系選手との間には差があり、また、筋力における男子選手と女子選手との差は、筋量の差を反映して上肢筋において顕著に表れることが明らかになった。身体組成あるいは四肢筋量・筋力における競技種目差および性差については、これまでにも数多く報告されている。しかし、身体組成、四肢筋量および筋力の各測定変数間の関係に基づき、競技種目差および性差を検討した例は少なく、本研究で得られた知見は高いオリジナリティーを持つ。しかしながら、平成26年度の当初の研究計画では、筋量・筋力の横断的調査結果の分析に加え、「身体組成、筋量および筋力の各要因とスポーツパフォーマンスとの関係の明確化」および「縦断調査に基づく年間変化量の明確化」を予定していた。しかし、それらについては、データは予定通り取得できたものの筋量に関する分析が未完了であり、特に後者については「女子競技選手におけるトレーニング介入が四肢筋量に及ぼす影響」を明らかにしたにすぎなかった。最終年度に向けて、データ解析の迅速化が課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
測定については、縦断的調査を中心に行う。また、平成26年度において課題となった「データ分析の迅速化」については、これまでの研究結果に基づき、主要な分析項目を整理することによりデータ分析の効率化を図る。 研究最終年度として、3年間の取得データに基づき、「スポーツ選手の身体形状と脂肪および骨格筋の体内分布における競技特性」および「身体形状、脂肪および骨格筋の体内分布がスポーツパフォーマンスに及ぼす影響」について総括し、高いスポーツパフォーマンスを達成するための至適な身体形状、およびそれを形成するに必要なトレーニング内容を提案する。
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