研究課題/領域番号 |
25282200
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
藤田 聡 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (80451863)
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研究分担者 |
浜岡 隆文 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70266518)
家光 素行 立命館大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (90375460)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 筋肥大 / レジスタンス運動 / 有酸素運動 / mTOR / 高齢者 |
研究概要 |
本研究の目的は高齢者を対象としたレジスタンス運動と有酸素性運動の組み合わせによる分子相互作用の機序解明と、その結果に基づいた適切なトレーニングプログラムの開発に繋げることである。 平成25年度はまずヒト実験を用いて、レジスタンス運動による筋内シグナル因子および筋タンパク質代謝に関わる性ホルモンの変化について検討を行った。加齢に伴い筋内の性ステロイドホルモンの濃度が男性で低下するが、12週間のレジスタンストレーニングを実施することによる筋肥大に伴い、高齢男性の筋内性ステロイド濃度も改善することが明らかとなった(Sato et al. FASEB J, 2015)。この研究から、レジスタンス運動による骨格筋細胞内での適応に性ステロイドホルモンが関与していることが示唆された。 また動物モデルを用いて、電気刺激による骨格筋のエキセントリック収縮時に増加する筋タンパク質合成に関わる筋内シグナル因子(mTORシグナル経路)の活性に関して調査を行った。その結果、レジスタンス運動の前に有酸素運動を行う群と比較して、レジスタンス運動後に有酸素運動を実施した群において有意なmTORシグナル因子の抑制が確認された。これは有酸素性運動に伴う筋細胞内のシグナル因子であるAMPKの活性が筋タンパク質合成に関わるmTORを抑制していたためと推測される(Ogasawara et al. AJP, 2015)。 以上のことから、レジスタンス運動と有酸素性運動を同じトレーニングセッションで実施するコンカレントトレーニングを行う際には、その実施順序がレジスタンス運動による筋肥大に影響する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はレジスタンス運動に伴う骨格筋の合成シグナル因子の活性に対して有酸素運動が及ぼす影響を動物モデルを用いて検討した結果、有酸素性運動とレジスタンス運動の実施順序がレジスタンス運動後の筋タンパク質合成に影響を及ぼすことが明らかとなった。この実験結果より、平成26年度の実験プロトコルも確定できたため、現時点では研究はおおむね順調に伸展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は健常な若年者を対象として、有酸素運動をレジスタンス運動の前に実施する群と、有酸素運動をレジスタンス運動後に実施する2群に分け、それぞれの群において骨格筋の肥大を検討することで、コンカレントトレーニングにおける運動の実施順が長期トレーニングに伴う筋肥大に及ぼす影響を検討する。また平成26年度の上半期から平成27年度にかけて、同様の実験を高齢者を対象として検討し、有酸素性運動によるインスリン感受性の改善だけでなく、筋肥大の観点から複合的な運動プログラムの検討と、その実施順が代謝応答・適応に及ぼす影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度末までに解析を予定していた骨格筋サンプル用の抗体が予備実験の段階でうまく測定・評価できなかったため、本実験用の解析が遅れ未使用分が発生した。別の業者が販売する抗体を用いた予備実験では評価が可能であることが確認できたが年度末までに本実験に進むことができなかった。 平成26年度の最初に未使用分の経費を執行して昨年度決定した目的とする抗体を購入し、未解析の骨格筋サンプルを解析する。
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