研究課題/領域番号 |
25282209
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
井上 茂 東京医科大学, 医学部, 教授 (00349466)
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研究分担者 |
岡 浩一朗 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (00318817)
原 丈貴 島根大学, 教育学部, 准教授 (40420723)
下光 輝一 東京医科大学, その他部局等, 名誉教授 (90206243)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 公衆衛生 / 身体活動 / ヘルスプロモーション / ポピュレーションアプローチ / ソーシャルマーケティング / 地域介入研究 / クラスターランダム化試験 |
研究実績の概要 |
本研究は身体活動推進のポピュレーション・アプローチの効果を質の高い研究デザイン(クラスターランダム化試験による地域介入研究)で検討するもので、介入期間は5年間、介入手法はソーシャルマーケティング理論に立脚したコミュニティ・ワイド・キャンペーンとする。研究は平成21年10月から開始されており、平成26年10月まで介入を継続し、10月に5年後調査を行った。また、死亡情報、要介護認定に関する情報の収集を開始した。 1)地域介入の継続(10月まで):公民館区を単位として、対照地区3地区、介入地区9地区が設定されている。介入は、①情報提供、②教育機会、③サポート環境、の3つの側面に整理して実施した。 2)5年後調査の実施:平成26年10月に地域住民4249名を対象に追跡調査を実施した。調査は質問紙を用いた郵送調査である。また、対象者は平成21年に調査地域の住民より6000名を無作為に抽出したが、当時のベースライン調査(平成21年調査)に回答した者であり、これらの対象者を追跡している。今回実施した5年後調査では3533名より回答を得た(回答率83.1%)。データ入力を行い、データクリーニングを開始した。 3)死亡、要介護認定情報の把握:死亡情報、および介護認定の情報を自治体の協力を得て取得した(対象者からのインフォームドコンセントは取得されている)。また、主治医意見書より要介護認定に関連する情報の抽出を開始した。 研究結果はベースラインおよび1年後、3年後評価のデータを分析することで、適宜、論文化を進めている。研究は予定通り進行しており、最終年度にあたる平成27年度は5年後調査も含めてデータベースを確定し、分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画は予定通りに実施されている。本研究は地域介入研究であり、既に平成21年10月から開始されている。平成26年度は10月まで介入継続し、10月には最終評価(5年後評価)のための調査を行う計画であった。当初の計画通りに達成された。また、本研究では副次的アウトカムとして、死亡、要介護認定の状況を設定しているが、自治体の協力を得て、いずれも入手することができた。 1)介入は順調に継続して終了した。本研究では公民館区を単位として、対照地区3地区、介入地区9地区が設定されているが、介入は①情報提供、②教育機会、③サポート環境、の3つの側面に整理して実施した。適宜、介入戦略会議を開催して研究者代表者、分担者と現地スタッフ(研究協力者)で介入の方向性を確認した。平成25年度は4月、6月、10月に現地での会議を行った。 2)5年後調査を計画通りに終了した。4249名に調査票を郵送し、3533名から回答を得た。データ入力を行い、現在データクリーニング中である。 3)これまで収集したデータの分析を進めた。ベースライン評価のデータを用いた論文が採択された。また、3年後評価データを用いた論文を投稿し、現在under review(再投稿済み)である。その他、体力科学、運動疫学研究、介護福祉・健康づくり、運輸と経済等の雑誌に関連する論文を発表した。また、日本公衆衛生学会においてポピュレーション・アプローチに関するシンポジウムを行った。 以上のように、研究は計画通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに進行しており、平成27年度も当初の計画に沿って研究を実施する。 1)死亡、要介護認定の状態の把握:行政情報により介入開始5年後(平成26年10月)時点における死亡・要介護認定状態の確認作業を進める。要介護認定状態については、要介護度のみならず、主治医の意見書より情報を抽出し、データベース化する。 2)介入開始5年後調査データの分析:平成26年10月に5年後追跡調査を実施し、入力を行った。データクリーニングを行い、分析を進める。またこれとは別に、介入のプロセス評価としてGlasgowらの提唱するRE-AIM(①Reach:到達度、②Efficacy/Effectiveness:有効性、③Adoption:採用度、④Implementation:実施精度、⑤Maintenance:維持度)のフレームワークを用いた評価を行う。 3)論文化:現在、平成24年度調査結果(3年後調査結果)を分析し論文として投稿中である。本年は、5年後調査結果についても分析を進め、適宜論文化を行う。 4)コミュニティ・ワイド・キャンペーン(CWC)の雲南市内他地域、および他都市への展開:本研究の経験を活かし、CWCの他地域への展開に向けて地域介入の手順をまとめる。今回介入を実施した地域は雲南市内の32公民館区のうち無作為に抽出された9地区だったが、他の23地区への展開、およびその評価を計画する。また、神奈川県藤沢市が雲南市の事例を参考に同様の介入(CWC)を開始した。連携するとともに、他都市のサポート体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度の研究を進めていく中で、平成27年度に実施予定の要介護状況の把握、主治医意見書からの情報抽出に大きな労力と人件費が見込まれることが判明した。そこで、平成26年度は可能な限り人件費を抑制し、平成27年度に使用することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は要介護状況の把握として、特に主治医意見書からの情報抽出に労力と人件費を要する見込みである。繰り越された研究費をこれにあてる予定である。
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