研究課題
思春期における疲労の蓄積は学習意欲や学力低下を引き起こすため、疲労克服法の開発は喫緊の課題である。先行研究では、単回測定による疲労の定常評価に留まっているが、実際には小児慢性疲労症候群患者では労作後疲労や疲労回復の遅れが中核をなす愁訴であり、易疲労性や疲労回復性といった疲労の動的側面の定量評価法の開発が望まれている。本基盤研究では、小中学生と小児慢性疲労症候群患児の生理学的メカニズムに立脚した易疲労性・疲労回復性の定量評価法を開発および疲労軽減・回復法の創出を目的とした。脈波、指先のスキンコンダクタンス、呼吸、皮膚温度や唾液アミラーゼ計測による自律神経機能評価法や画面上の数字と平仮名を交互に探索し注意の切り替えが必要な注意転換課題{modified advanced trail making test(mATMT)における課題E}測定による認知機能評価法等を用いて確立した易疲労性・疲労回復性の定量評価試験を進めた。試験実施の際、初めに参加被験者およびその保護者からの研究参加に関わるインフォームドコンセントを得た後、小中学生の小児慢性疲労症候群患児と健常児の比較試験を実施した。さらに、患児においては治療前後における試験実施により治療効果を検討した。治療前の患児は、健常児に比し、試験中に脈波の自律神経機能の活動が特に大きな変化を示し、これが治療後に改善することが明らかとなった。易疲労性と疲労回復性の定量評価指標として、また同時に治療効果指標としても自律神経活動指標が有用であることを明らかにした。また、子供の疲労実態を明らかにするための予備調査を実施し、疲労している児童・生徒が増加傾向にあることも明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Neuroimage: Clinical
巻: 9 ページ: 355-368
doi: 10.1016/j.nicl.2015.09.001
Journal of Physiological Sciences
巻: 65(6) ページ: 483-368
doi: 10.1016/j.lfs.2015.07.023