研究課題
運動時の代謝・内分泌反応は、運動する時間帯の違いにより大きく異なる。生活習慣の多様化に伴い、運動をする時間帯には大きな個人差がある。総務省の統計によると、有職者が週日に運動する時間帯のピークは午後8時頃だが、午前6時頃にも小さなピークがあり、就業前に運動する者と就業後に運動する者が混在している。また、運動後も代謝・内分泌機能への影響が続くので、運動が代謝に及ぼす影響はこれも含めて評価する必要がある。例えば、運動時の代謝測定に基づいて「体脂肪のエネルギー酸化には低強度運動が適している」と考えられているが、運動後の代謝応答を含めた24時間の脂肪酸化で評価すると「運動強度の違いは脂肪酸化量には影響しない」と結論が異なってくる。本研究は、運動する時間帯の違いが24時間の脂肪酸化に及ぼす影響についてヒューマン・カロリメータを用いた連続間接熱量測定から検討した。健康な若年成人男性を対象とした。実験1:最大酸素摂取量の50%強度で60分間の運動を朝食前か朝食後に行った。実験2:同様の運動を朝食前、昼食後、夕食後に行うか、非運動試行。実験3: 65%強度で100分間の運動を朝食前か昼食後に行った。24時間のエネルギーの摂取と消費のバランスが釣り合った条件下では、運動を行わなかった試行に比べて24 時間の脂肪酸酸化を増大させたのは朝食前に運動を行った試行のみであった。エネルギー消費や炭水化物酸化の経時変化と食事の摂取時刻からエネルギーや炭水化物の体内貯蔵量の経時変化を解析すると、朝食前に運動を行うことで貯蔵エネルギーや貯蔵炭水化物(グリコーゲン量)が著しく減少することが明らかになった。この貯蔵エネルギーや貯蔵炭水化物の減少の程度は24時間の脂肪酸化と負の相関があり。体内グリコーゲンの枯渇が24時間の脂肪酸化量増大の機序の一部であることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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