研究課題/領域番号 |
25282219
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
田畑 泉 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20188402)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | SPARC / 高強度運動 |
研究概要 |
本研究では,大腸癌発症との関係で注目されているSPARCの分泌量の指標である血中濃度に対する高強度・短時間・間欠的運動に影響を明らかにするために,異なる3種の運動(1.中強度(最大酸素摂取の70%)の30分間の運動(EE),2. 高強度 (最大酸素摂取量の170%)・短時間・間欠的運動(10秒の休息を挟み20秒の運動を6~7回行い疲労困憊に至るような自転車エルゴメータ運動:HIIE),3.高強度(最大酸素摂取量の170%)・短時間・間欠的交互運動(10秒の休息を挟み,最大酸素摂取量の170%の強度の走運動と自転車エルゴメータ運動を,それぞれ4回及び3回交互に行う:HIICE)が血中SPARC濃度に及ぼす影響を観察することを目的とした. 【方法】健常男子大学生8名を対象に異なる3種の運動を行わせ,各運動前,運動直後,30分,1時間,2時間,3時間後に肘静脈から採血を行い,ELISA法を用いて血清SPARC濃度の経時的変化を測定した. その結果、運動前の血清SPARCの値は,HIIE(1092±457ng/mL),HIICE(1123±402ng/mL),EE(1034±391ng/mL)であり有意差はなかった.運動終了直後,血清SPARC濃度が運動前の値より有意に上昇した(HIIE:1280±377ng/mL,HIICE:1326±357ng/mL,EE:1272±350ng/mL).HIIE及びHIICEにおいては運動終了30分後も運動前の値に対して高い値を保った(HIIE:1279±370ng/mL,HIICE:1331±418ng/mL).しかしEEでは運動終了から30分以降は,運動前の値より高い値は観察されなかった.運動終了3時間後の血清SPARC濃度は,HIIE(1206±430ng/mL)とHIICE(1206±360ng/mL)で差はなかったが,HIIEとEE(1036±443ng/mL)を比べるとHIIEの血清SPARC濃度が高かった.これらの結果は,運動による血液濃縮の影響を考慮しても変わらなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、ヒトを用いた研究と実験動物を用いた研究により、身体活動・運動による大腸がん発症予防の機序を明らかにすることを目的としているが、今年度の研究ではヒトを対象に大腸がんの発症予防のキーファクターであるSPARCの血中濃度増加に対する運動の強度が与える影響を明らかにし、スポーツ等に含まれる高強度運動でも、従来 報告されていた中等度運動とほぼ同じ程度、血中濃度が上昇することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究で明らかになった高強度運動により大腸がん発症予防効果がある甲斐中を実験動物を用いて明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究及び予算執行を計画的に行なってきたが、少額(4,558円)が、未使用となった。期限内に無理をして執行しなかったことが理由である。 未執行額は少額であり、26年度の研究費と合算して使用する予定である。
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