研究課題/領域番号 |
25282228
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80235267)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 海洋天然物 / マクロリド / 全合成 / 生体機能分子 / 機能解析 / ゴニオドミンA / ポリカバノシド / アンフィジノリドN |
研究実績の概要 |
(1)ゴニオドミンAの合成:昨年度に引き続き、C26-C38フラグメントのグラムスケールでの合成法を確立した。ジヒドロピラン環とテトラヒドロピラン環を含むC12-C25フラグメントの合成ルートにおける各反応条件を精査することにより最適化し、C26-C38フラグメントとのStille型カップリングによりC12-C38フラグメントの効率的合成法を確立した。 (2)アンフィジノリドNの合成:昨年度まで計画してきた合成ルートでは高度に官能基化された6員環ヘミアセタール部分を含む重要フラグメントの合成が困難であることがわかった。平成27年度は、改良合成ルートの設計と検討を行った。その結果、エステル縮合によるフラグメント連結、メチレン化と閉環メタセシス反応によるジヒドロピラン環の構築を鍵工程とする新たな合成ルートを確立することができ、C8-C29フラグメントの収束的合成を達成した。 (3)ポリカバノシド類の合成:昨年度に開発した改良合成ルートの最適化を行うことにより、全合成に必要な上部および下部フラグメントの大量合成を行い、マクロラクトン骨格の合成法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)ゴニオドミンAの合成:C12-C25フラグメント合成のスケールアップに伴って、反応の収率と再現性が低迷し、詳細な条件検討と合成ルートの最適化に予想外の時間を要した。 (2)アンフィジノリドNの合成:当初計画していた合成ルートでは官能基化された6員環部分の構築が困難であることが判明し、合成ルートの再設計が必要になったことが最大の理由である。 (3)ポリカバノシド類の合成:これまでの合成ルートの一部に再現性が得られず、条件検討と最適化に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ゴニオドミンAの合成:合成法を確立したC12-C38フラグメントとC1-C11フラグメントをエステル縮合により連結して、すべての炭素鎖を備えた化合物を合成する。さらに、マクロラクトン骨格を構築後に、B/C環スピロアセタールとF環ヘミアセタールの構築を一挙に行うことにより全合成を達成し、全立体配置の確認を行う。 (2)アンフィジノリドNの合成:アルドール反応によるフラグメント連結後に、マクロラクトン化を行うことにより全合成を完成させ、全立体配置の確認を行う。 (3)ポリカバノシド類の合成:重要中間体のスケールアップ合成に成功しているので、側鎖部分と糖鎖の合成を行うことにより、天然物および人工類縁体の合成を完成させ、構造活性相関研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の計画として、全合成における新たな改良合成戦略の設計と検討、個々の反応条件の詳細な検討に予想以上の時間を要し当初計画より遅れが生じたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に引き続き、研究を強力かつ円滑に推進するために効率的かつ適正に使用する計画である。
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