研究課題
神経変性疾患におけるタンパク質凝集体や、細胞内に侵入したバクテリアの排除には、オートファジーとよばれる細胞内分解機構が重要な役割を果たしている。二重膜からなるオートファゴソームに分解対象物が包まれ、リソソームと融合したのちに加水分解される。オートファオジー関連タンパク質については数多くの報告があるが、低分子量のオートファジー制御因子は、ほぼ未解明である。本研究では、8-ニトロcGMPが「内因性の」オートファジー誘導分子であることを発見した。8-ニトロcGMPが一酸化窒素(NO)に由来することから、その生理的機能は炎症や感染症と関連すると予想して検討を進めた。初代マクロファージ細胞内に侵入したA群連鎖球菌のオートファジーによる排除の解析を行なった結果、細菌表面のS-グアニル化修飾の程度が、細菌のユビキチン修飾と堅固な相関を示した。また、各種の阻害剤を用いた実験から、Sーグアニル化がユビキチン修飾の引き金になっていることが示唆された。これらの成果を論文として本年度発表した。続いて、オートファジーが関わる疾患に対する医薬品探索を目的に、8-ニトロcGMPの各種誘導体ライブラリーの合成を行なった。ライブラリーのオートファジー誘導能を評価して、誘導能の高い化合物を選抜した。これらについて、ハンチントン病などのモデルとして用いられるポリグルタミンタンパク質を発現する細胞株を用いて評価を開始した。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、これまでの主要成果を取りまとめ、主要国際誌において公表することができた。S-グアニル化とユビキチン化の相関は斬新で、発見の重要性は大きい。
概ね当初計画通りに進めて行く。
補助金分において一部計画を次年度に繰越実施した。それに関連した基金分の実験を次年度に実施するため。
次年度に当該実験を行なう為に支出する。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Molecular Cell
巻: 52 ページ: 794-804
10.1016/j.molcel.2013.10.024
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2013/11/press20131115-01.html