研究課題
短鎖RNA断片を細胞内に導入して細胞内でビルドアップ的に活性型siRNAを構築できる技術を開発する。これは、我々がこれまで開発してきた細胞内での核酸鋳型反応を応用することで可能になる。ビルドアップ戦略により、高分子RNA医薬の問題である細胞膜透過性の低さや免疫系の非特異的活性化を克服することを目指す。本年度は、ビルドアップ型siRNAの最適化を検討した。21塩基対の2本鎖RNA (siRNA)の分断位置を5塩基目で切断したRNAを作成した。これが細胞内で活性化されライゲーション反応を起こし、活性型siRNAに変化されることで、RNA干渉効果を示すと予想した。調整した連結型2本鎖RNAを、細胞内で評価したところ、十分なRNA干渉効果が確認された。一方、ビルドアップ型RNAを導入した場合、極めて弱いRNA干渉効果しか示されなかった。これは検討の結果、相補領域が4塩基であるため、2本鎖形成能が低下し、ライゲーション効率が低下したと思われる。一方、ビルドアップ型RNAを高濃度で導入しても免疫応答は極めて低い結果となった。このことは、2本鎖RNAが断片化されることで、免疫応答を回避できることを示している。RNA干渉効果をより高めるためには、細胞内での反応効率を上げる必要がある。一つは、相補鎖領域5塩基以上のものを設計する必要がある。さらに、化学反応性を上げることで連結収率を高めることができると考えられる。これらの改定を新しいプローブに組み込むことで、より実用性の高い方法論になると期待される。
2: おおむね順調に進展している
断片化RNAの作成により、免疫応答の低減効果が示された。このことは、今回の研究戦略を進めるにあたって有用な知見である。
RNAを断片化することで、免疫応答が低減できることが示された。しかしながら、断片化したRNAを効率よく再連結することが、現段階では難しい。新しい化学反応を開発し、連結反応を効率化する必要がある。
2015年3月に、北海道大学から名古屋大学へ移動した。名古屋大学での立ち上げのために、基金を繰り越した。
研究室の立ち上げに必要な消耗品、装置の購入に使用する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)
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