研究課題
核酸鋳型化学反応を開発し、機能性RNAを設計・合成することを試みた。本法のRNA干渉法への適用を試みた。RNA干渉には通常20塩基以上のRNA二本鎖が用いられる。しかしながら、20塩基以上のRNAは細胞内で免疫応答を起こすことが問題なる。この非特異的な免疫応答はRNA干渉を医療応用する際に大きな問題となる。これを解決するために短鎖のRNA鎖を細胞内に導入することで、免疫系を回避した後、ビルドアップ的に長鎖の活性型RNA二本鎖を細胞内構築する反応の開発を試みた。分子設計では、活性型二本鎖RNAを四分割することとした。分割してできた短鎖RNA鎖の末端には、それぞれ、ブロモアセチル基あるいは、ホスホロチオエート基を結合させた。さらに、ホスホロチオエート基にはジスルフィド型の保護基を導入し、細胞内のグルタチオンと反応して脱保護される分子メカニズムを導入した。このビルドアップ型RNAは、グルタチオン存在下で混合すると完全長の二本鎖RNAに変換されることを溶液反応にて確認した。さらに、ルシフェラーゼ遺伝子を標的としたビルドアップ型RNAを設計し、これを細胞内に導入したところ、RNA干渉効果を発現することが明らかになった。しかしながら、ビルドアップ型RNAのRNA干渉効果は天然型RNAに比較し50%程の効果であった。これは、ビルドアップ型RNAが与える生成物に非天然骨格が含まれることに起因すると考えられる。今後は、より天然骨格に近い生成物を与える核酸鋳型化学反応を開発する必要があると考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 5 ページ: 16435
10.1038/srep16435
Organic & Biomolecular Chemistry
巻: 13 ページ: 1022-1028
10.1039/c5ob00199d