研究課題/領域番号 |
25282241
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡瀬 啓 東京医科歯科大学, 脳統合機能研究センター, 准教授 (30376800)
|
研究分担者 |
水澤 英洋 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30144091)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 脊髄小脳変性症 / リソソーム / 神経炎症 / ノックインマウス |
研究概要 |
1)リソソーム生合成系路の活性化によりSCA6の病態が改善できるかどうか検討するため、まず今年度はテトラサイクリン依存的に転写因子TFEBを過剰発現するTRE-3xFLAG-hTFEBトランスジェニックマウスの作製を行なった。その結果、現在までに8匹のF0マウスを得た。また並行してCRISPR/Cas9法を利用して恒常的活性化変異をTfeb遺伝子に有するmTfebS269Aノックインマウスの作製を開始した。 2)NeuroinflammationのSCA6病態への関与を明らかにする目的でToll-like-receptor (TLR)のシグナル伝達に必要なアダプター分子MyD88ノックアウトマウスとSca6 MPI-118Qマウスとの2重変異マウスを作製し、その解析を行なった。2重変異マウスではコントロールマウスと比較して協調運動障害が有意に改善しており、TLR系を介した自然免疫がSCA6病態に関与している可能性が考えられた。 3)分子シャペロンiHsp70 によるリソソーム膜安定化とリソソームストレス軽減作用により、SCA6の病態が改善できるかどうかを明らかにするため、iHsp70を過剰発現するトランスジェニックマウスとMPI-118Qマウスとの2重変異マウスを作製し、その行動学的・病理学的解析を行なった。現在までのところ2重変異マウスで協調運動障害及びプルキンエ細胞変性に有意な改善傾向は認められておらず、iHsp70単独の過剰発現では治療効果は期待できない可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初CAG-floxStop TFEB マウスをイタリアの研究者から導入することを予定していたが、先方の都合で導入することができず、代わりに自らテトラサイクリン依存性にTFEBを過剰発現するマウスや恒常的活性化型Tfebを発現するノックインマウスを作製することしたため、当初の予定よりはやや進捗は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
i) TRE-3xFLAG-hTFEBマウスとPcp2-tTAマウスの交配によりプルキンエ細胞特異的にリソソーム生合成系路のマスター転写因子TFEBを過剰に発現するマウスを作製するとともにmTfebS269Aノックインマウスの作製を終える。次いでこれら変異マウスとMPI-118Qマウスを交配して2重変異マウスを作製し、その解析を行なう。 ii) MyD88 KO/ MPI-118Qマウスで協調運動障害の改善が認められたので、今後その病理学的・生化学的解析や遺伝子発現解析を行なって、改善効果と関連する分子病態の変化の解明を目指すとともにNon-TLR系の自然免疫の病態への関与についてもDectin-1 KOマウスなどを用いてその解明を行なう。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたイタリアの研究者からのCAG-floxStop TFEB マウスの導入ができなかったため、研究計画にやや遅れが生じたこと及び研究補助員の雇用に関して当初予定していた時期には適当な人材を得ることができず、やや雇用の開始が遅れたことが主な原因である。 CAG-floxStop TFEB マウスに替わるものとして、TRE-3xFLAG- hTfebトランスジェニックマウス及び恒常的活性化型Tfebを発現するmTfebS269Aノックインマウスの作製に着手しており、前者についてはF0マウスをすでに得ている。これらのマウスの作製及びその後の維持繁殖等にかかる費用及び実際にこれらマウスを用いた研究にかかる費用のほぼすべては次年度以降の費用で賄う計画である。
|