研究課題
1) リソソーム生合成経路の活性化によるSca6 KIマウス病態の改善を試みた。恒常的活性化変異をマウスTfeb遺伝子に有するmTfebS269AノックインマウスとSca6 MPI-118Qノックインマウスとの交配によって得られた2重変異マウスにおいて、生後7週齢でロータロッド解析を行ったところ、2重変異マウスではコントロールと比較して、有意に運動症状の改善が認められた。しかし病理学的には残存小脳プルキンエ細胞数には明らかな改善は認められなかった。これらの結果はS269A変異はfunctionalには協調運動障害を改善するものの、その神経変性改善効果は軽度或いはほとんどないことを示しており、今後運動障害改善効果のメカニズムについてさらなる詳細な検討が必要と考えられた。2)前年度までの検討により、M1型ミクログリア優位の神経炎症を遺伝学的に抑制することによりSca6 KIマウスでみられる神経変性の初期病態を改善できることがあきらかになった。そこで次にCSF-1R阻害剤(PLX----)を生後3週齢からSca6 KIマウスに投与して、小脳ミクログリオーシス全般の抑制を試み、病態を改善できるかどうかの検討を行った。その結果、投与群では小脳でのミクログリオーシスが著明に抑制されたが、プルキンエ細胞の脱落の程度や運動機能障害には明らかな効果は認められなかった。これらの結果から、SCA6初期病態の改善にはミクログリアのablationは有効ではなく、活性化スペクトラムを制御できる薬剤を開発する必要があることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Human Molecular Genetics
巻: 25 ページ: 4432-4447
10.1093/hmg/ddw272
巻: 25 ページ: 4507-4517
10.1093/hmg/ddw27