研究課題/領域番号 |
25282245
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松坂 義哉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30312557)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 他者の意図 / 予測 / サル / ニューロン |
研究実績の概要 |
1.申請書で触れた自閉症類似の行動異常(固形飼料に対する強固な拘り)を示すニホンザル個体について、同個体が重度の痙攣・飲食不能などの神経症状を発症したため、血液標本を採取して脳固定標本を作製し、組織学的な検索を行っている。結果、右側頭葉、後頭葉、頭頂葉に進行した脱髄がみられる一方、海馬は組織構築が保たれ、神経細胞の脱落は認められなかった。現在、この個体及び血縁個体の血液の全ゲノム解析を行っている。 2.行動実験課題について。報酬を得るためには相手の反応を予測することが必要であることを理解させるよう、訓練装置を再設計した。新しい装置では、対面した二頭のサルA, Bの中間に左右一つずつの押しボタンを設置し、そのどちらかのボタンを押せば報酬が得られる。A,Bとも相手が不正解ボタンを押すと自分が報酬を貰える。そこで2頭とも互いに相手がどちらのボタンを押すか予想し、それとは反対側のボタンが正解となるように指定する。従来の訓練方法では、相手が正解ボタンを押した結果、自分が正解ボタンを押せなくなることの因果関係がサルにわかりにくかった。そこで、新しい訓練装置では、押しボタンの手前にシャッターを取り付け、相手が正解ボタンを押すとシャッターが閉まってボタンを押せなくなるようにした。現在、この新しい装置でサルを再訓練している。 3.大脳皮質からの全層同時神経活動記録について。医工学系研究科との共同開発によってシリコン基板上に微細回路技術によって多数の記録点を配置した電極を開発し、サル個体(他の実験で使われたもの)でテストした。その結果、本電極によって実際にニューロンの活動電位、local field potentialをin vivoの動物で全層同時記録できる目途が立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
サルが相手の意図を予測しつつ自分の行動を決定するよう訓練する段階で混乱を起こしたため。しかし、訓練装置・手法を再検討した結果、この課題をクリアする目途が立った。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、異常行動を示す個体及びその血縁個体の遺伝子解析を進める。 行動課題の訓練を進め、生理学実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度購入する予定だったPlexon社製多点電極の納品遅延の為
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き納品を督促するが、余りに遅れる場合には代替品の購入を検討する
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