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2015 年度 実績報告書

多点皮質電極記録による霊長類内側側頭葉における記憶想起機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25282249
研究機関高知工科大学

研究代表者

中原 潔  高知工科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50372363)

研究分担者 川嵜 圭祐  新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60511178)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード連合記憶 / 側頭葉 / 皮質脳波 / シータ波 / 空間パターン / 霊長類
研究実績の概要

我々は独自に開発した高密度皮質脳波 (ECoG) 電極を使って、サルが長期連合記憶を想起する際の側頭葉の活動を調べ、脳活動が作り出す空間的なパターンによって連合記憶がコードことを明らかにした。
我々のグループによるこれまでの研究から、側頭葉の36野の限局した領域に存在する比較的少数の記憶ニューロンが連合記憶をコードすることが分かっていた。しかし、従来の単一神経細胞記録による研究では、個々の記憶ニューロンの活動を調べることしかできないため、脳における記憶痕跡の形成が主に少数の記憶ニューロンによる局所神経回路によるものか、それとも、より広範な大脳皮質の領野に広がる神経回路の再編を伴うものか不明であった。我々は、サルにいくつかの図形のペアを記憶学習させたあと、36野を中心として、TE野、海馬傍皮質、及び嗅内皮質の一部を含むように128チャンネルのECoG電極を設置し、サルが記憶した図形ペアを想起する際の脳活動の空間パターンを解析した。その結果、ペアとして記憶された図形は互いに類似した脳活動の空間パターンによってコードされることが明らかとなった。さらにこの空間パターンは36野からTE野、海馬傍皮質の一部にまで広がっていたことから、側頭葉皮質の領野間に広がる比較的広範囲のメゾスコピックな神経回路の再編が長期連合記憶痕跡の形成に重要であることが示唆された。
こうした脳の記憶メカニズムについての新しい発見は、我々の脳に対する科学的な理解を深めるばかりでなく、アルツハイマー病を含む記憶障害の病態解明へ基礎的な知見を提供することが期待される。
本研究論文は28年6月10日にNature Communications誌に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最終年度である27年度までの実験・解析の実施の成果として、28年6月10日にNature Communications誌に論文が掲載されたものの、27年度中の論文受理には間に合わなかったため。

今後の研究の推進方策

本研究で得られたデータのうち、未解析部分について解析を進め、次論文の作成を開始する。

次年度使用額が生じた理由

論文受理が次年度となり、論文掲載料を次年度に支払う必要が生じたことが主な理由である。

次年度使用額の使用計画

主に論文掲載料、別刷り料、及び追加解析、次論文作成の打ち合わせの出張費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Associative-memory representations emerge as shared spatial patterns of theta activity spanning the primate temporal cortex2016

    • 著者名/発表者名
      Nakahara K., Adachi K., Kawasaki K., Matsuo T., Sawahata H., Majima K., Takeda M., Sugiyama S., Nakata R., Iijima A., Tanigawa H., Suzuki T., Kamitani Y., Hasegawa I.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 7 ページ: -

    • DOI

      10.1038/ncomms11827

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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