研究課題/領域番号 |
25283008
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 准教授 (90336701)
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研究分担者 |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20324676)
落合 雪野 鹿児島大学, 総合研究博物館, 准教授 (50347077)
岩井 雪乃 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 助教 (80507096)
浜本 篤史 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 准教授 (80457928)
安田 章人 九州大学, 基幹教育院, 助教 (40570370)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ワシントン条約 / 地球環境主義 / 環境NGO / 在地商業権 / 観光開発 / 生物保護区 / 生態資源 |
研究概要 |
5月に全体のキックオフ・ミーティングを開催し、本研究会の方向性を再確認した。なかでも、最終年度の2016年度にフィリピンもしくはマレーシアにて当事者間対話の機会をもうけること、ならびに2016年度中に成果出版用の原稿の提出を確認することができた。 研究代表者の赤嶺は、2013年3月にバンコクで開催されたワシントン条約第16回締約国会議で決定された附属書改訂に関し、サメ類を中心とした商業的に利用されてきた水産動物の採択結果について、採択過程のポリティクスについてのレビューをおこなった。また、フィリピンのジンベエザメ・エコツーリズムに関する参与観察を実施した。分担者の長津は、沖縄県糸満市、石垣島における糸満系海人の分村形成、海外出稼ぎ等の移動と、かれらによるハタ類等の稀少海産資源利用に関する調査をおこなった。東南アジア島嶼部の海民社会における同資源利用の変化を念頭におき、その歴史過程を比較展望した。落合は、ラオス、ルアンパバーン県において、染織産業に対する観光開発の影響について聞き取りと参与観察を行った。その結果、染織工房や体験型施設を公開する取り組みに関する動向を把握することができた。岩井は、東アフリカにおける象害の実態調査をおこなうとともに問題解決にむけた当事者間対話の場を創出した。あるリカに浜本は、韓国・済州島において、中国人観光客の観光行動についての現地調査をおこなった。旧済州、新済州、中文、西帰浦といった特質の異なる4地区を対象に、観光資源、施設の種類と充実度、旅行客層について街頭の案内表記にも留意し、観光業者およびホテルスタッフ等から近年の外国人観光客の動向についてヒアリングをおこなった。さらに、「オルレ」と呼ばれる散策コースの整備状況を確認した。安田は、西アフリカにおけるスポーツハンティングの比較研究を文献とフィールドワークからおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれが、これまでの研究活動で培ってきた研究ネットワークを駆使し、あらたな研究課題もしくはあらたな調査地の開拓をおこない、地味ながらも着実に一歩を踏み出した。研究代表者としては、共同研究者間コミュニケーションを促進し、共同研究としての一体感の醸成に務めるべきであったと感じている。今後は、この点に留意し、個別研究が共鳴しあう相乗効果という共同研究の長所をひきだしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる今年度は、研究課題によりコミットすることがもとめられる。 代表者の赤嶺は、フィリピンにおけるジンベエザメ・ツーリズムの調査を継続するとともに、マレーシアにおけるサメ類利用の実態調査を実施する。同時にマレーシアにおけるナマコ石鹸の開発とツーリズム開発の関係性について調査する。分担者の長津は、ひきつづき、沖縄県糸満市、石垣島における糸満系海人の分村形成、海外出稼ぎ等の移動と、かれらによるハタ類等の稀少海産資源利用に関する調査をおこない、インドネシアの事例を比較研究をおこなう。落合は、ラオス、ルアンパバーン市とその周辺域で、織物生産村、ハンディクラフト組合、体験施設を対象に聞き取りと参与観察を継続し、観光開発の影響下における伝統染織技術の継承実態について、実証的なデータを集積する。岩井は、マレーシアのゾウ被害状況やエコツーリズムの視察をおこない、東アフリカの事例と比較研究をおこなう。浜本は、2013年度の調査の延長として、前回調査で訪問できかった韓国のハラルサン等の世界自然遺産を中心に現地調査をおこなう。安田は、南部アフリカ地域(ザンビア、南ア、ナミビアなど)の、スポーツハンティングが私有地で活発におこなわれている国)と西アフリカの事例を比較研究する。研究協力者の大橋は、ペルーのアマゾン地域においてピラルクー利用の実態調査をおこなう。 本研究の視野を広くするためにも、若手の研究協力者をひろくもとめ、意見交換をおこなう。
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