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2014 年度 実績報告書

生物資源のエコ・アイコン化と生態資源の観光資源化をめぐるポリティクス

研究課題

研究課題/領域番号 25283008
研究機関一橋大学

研究代表者

赤嶺 淳  一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90336701)

研究分担者 長津 一史  東洋大学, 社会学部, 准教授 (20324676)
安田 章人  九州大学, 基幹教育院, 助教 (40570370)
落合 雪野  鹿児島大学, 総合研究博物館, 准教授 (50347077)
浜本 篤史  名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80457928)
岩井 雪乃  早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 准教授 (80507096)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワードインドネシア / サメ漁 / エコ・ツーリズム / 野生生物管理 / 商業性 / CITES
研究実績の概要

研究代表者の赤嶺は、おもに利尻島(北海道)と気仙沼(宮城県)を中心に、CITESに絡んでナマコ類とサメ類の利用と管理に関するフィールドワークを実施した。長津は、インドネシアの鍛冶屋諸島(ワカトビ)におけるバジャウ人の海洋資源利用の変遷史に関する口述史を収集した。その結果、オーストラリアに越境していたサメ漁が衰退し、かわってマグロ漁が席巻していることがあきらかとなり、外部状況に柔軟に対応するバジャウ人の商業性を再確認することができた。落合は、ラオス北部の染織者団体を対象とした聞き取りの結果、①植物染色布への需要に対応するため、多色化の技術を首都の専門家から導入する動き、②自然染織の担い手と対面することを目玉にしたエコ・ツアーを開催する動きが、それぞれ村落レベルで拡大しつつあることをあきらかにした。岩井は、タンザニアのWildlife Management Area(WMA:コミュニティによる野生動物管理地域)の3カ所で調査を実施した。WMAは、地元住民に観光利益を還元する仕組みである。調査地において、どの動物がどのような観光の対象となっているか、あるいは害獣としてどのような被害を地域におよぼしているかをあきらかにした。安田は、スポーツハンティングに関する人類学ならびに哲学関係の文献を渉猟するとともに、平成27年度のフィールドワークの準備をおこなった。浜本は、エコ・ツーリズムのみに限定せず、すでにアジア地域において圧倒的な プレゼンスを持つにいたった中国人観光客を照射し、ホスト社会にとっていかなる影響を与えているのか、基礎調査をおこなっている。前年度(平成25年度)の韓国・済州島 に続き、平成26年度は旧正月直後のタイミングで台湾各地(台北・台中・高雄)を視察し、ホテルや観光施設における観光業従事者に対して中国人観光客の動向についてヒアリング調査をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究代表者の赤嶺は、一橋大学へ異動したことから、平成26年度の前期を研究環境の整備に費やし、後期にフィールドワークを開始するなど、調査については若干の遅れがあったものの、研究環境の改善から、後期には予定していた以上の調査をすることが可能となり、平成28年度の基金分予算から繰り上げるにいたった。また、在東京の研究分担者の3者間のコミュニケーションが効率よくはかれるようになった。東京以外で活動するメンバーとは、適宜、eメールや電話を活用し、連絡をとっているので、問題はない。赤嶺は研究分担者の長津とともに、マレーシアで開催された国際学会では口頭発表するなど、メンバーのそれぞれが、口頭発表や執筆など、研究成果を着実に公表している。とくに若手研究者の安田章人が、積極的に学会発表をおこない、共同研究の成果を発信しつづけていることは、高く評価できる。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、研究分担者の落合があらたに大学を異動し、より研究に専念できる環境となった。また、研究協力者の大橋麻里子が、日本学術振興会の特別研究員(PD)として、赤嶺の指導のもとで研究するようになった。そのため、一橋大学を拠点に、メンバー間のコミュニケーションを密にとることが可能となり、研究成果の共有という点で、効果が期待できる。5月16日に全体の集会を予定しており、夏期休業中のフィールドワークの報告をかね、秋以降に再度、全体会を開催する予定である。なお、すでに赤嶺が2015年10月中旬にフランスのトゥールで開催される食文化の国際学会(2015 International Conference on Chinese Food Culture)にて、気仙沼市の事例を報告することが決まっており、昨年度(平成26年度)にもまして、メンバーそれぞれが積極的に海外で研究成果の発表をおこなうよう、相互に情報交換を実施していく。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) 図書 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Maritime Diaspora and Creolization: A Genealogy of the Sama-Bajau in Insular Southeast Asia2015

    • 著者名/発表者名
      Nagatsu, Kazufumi
    • 雑誌名

      Senri Ethnological Studies

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] スポーツハンティングに対する是非の判断 ―簡易講義を通した大学生の意識変化調査―2015

    • 著者名/発表者名
      安田章人、横山章光、桜井良、任真弓加
    • 雑誌名

      ヒトと動物の関係学会誌

      巻: 39 ページ: 73-79

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A review of studies on swidden agriculture in Japan: Cropping system and disappearing process2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Yokoyama, Isao Hirota, Sota Tanaka, Yukino Ochiai, Eiji Nawata, Yasuyuki Kono
    • 雑誌名

      TROPICS

      巻: 22(4) ページ: 131-155

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 地域社会にとっての「資源」とは何か? 生態系のアンダーユースと自然資源管理-地域社会野文脈への「埋め戻し」試論2014

    • 著者名/発表者名
      富田涼都、安田章人
    • 雑誌名

      Wildlife Forum

      巻: 19(1) ページ: 18-20

  • [雑誌論文] Alternative product forms, consumer packaging and extracted derivatives of tropical sea cucumbers2014

    • 著者名/発表者名
      PURCELL, Steve, Poh Sze CHOO, Jun AKAMINE, and Michael Fabinyi
    • 雑誌名

      SPC Beche-de-mer Information Bulletin

      巻: 34 ページ: 47-52

    • 査読あり
  • [学会発表] スポーツハンティングに対する是非の判断―簡易講義を通した大学生の意識変化調査―2014

    • 著者名/発表者名
      安田章人
    • 学会等名
      「野生生物と社会」学会第20回大会
    • 発表場所
      犬山市国際観光センター(愛知県犬山市)
    • 年月日
      2014-11-01
  • [学会発表] Shark Town: Kesennuma’s Taste for Shark and the Challenge of a Tsunami2014

    • 著者名/発表者名
      Akamine, Jun
    • 学会等名
      Food Heritage, Hybridity, and Locality Conference
    • 発表場所
      Brown University (Providence, USA)
    • 年月日
      2014-10-24
  • [学会発表] Conserving Marine Biodiversity for Cultural Diversity: A Case for Sea Cucumbers among Bajau Societies2014

    • 著者名/発表者名
      Akamine, Jun
    • 学会等名
      Borneo Research Council 2014
    • 発表場所
      Universiti Malaysia Sabah (Kota Kinabalu, Malaysia)
    • 年月日
      2014-08-05
  • [学会発表] The Bajau as a Maritime Creole: Periphery, Mobility and Ethnic Process in Wallacean Sea, Southeast Asia2014

    • 著者名/発表者名
      Nagatsu, Kazufumi
    • 学会等名
      Borneo Research Council 2014
    • 発表場所
      Universiti Malaysia Sabah (Kota Kinabalu, Malaysia)
    • 年月日
      2014-08-05
  • [学会発表] Recreational hunting in Africa: “Meat” or “Poison” for local community2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuda, Akito
    • 学会等名
      XVIII International Society of Sociology World Congress
    • 発表場所
      Pacifico Yokohama (Yokohama, Kanagawa)
    • 年月日
      2014-07-16
  • [学会発表] 住民が求める獣害対策とは?ータンザニア・アフリカゾウ対策の事例2014

    • 著者名/発表者名
      岩井雪乃
    • 学会等名
      第49回環境社会学会大会
    • 発表場所
      福島大学 (福島県福島市)
    • 年月日
      2014-06-14
  • [学会発表] Ethnogenesis of the Bajau as a Maritime Creole and its Socio-ecological Contexts in Wallacean Sea, Southeast Asia2014

    • 著者名/発表者名
      Nagatsu, Kazufumi
    • 学会等名
      IUAES: International Union of Anthropological and Ethnological Sciences
    • 発表場所
      Makuhari Messe (Chiba, Chiba)
    • 年月日
      2014-05-29
  • [学会発表] カメルーン・北部州における遊牧系フルベによる放牧とスポーツハンティングをめぐるコンフリクト2014

    • 著者名/発表者名
      安田章人
    • 学会等名
      日本アフリカ学会第51回学術大会
    • 発表場所
      京都大学 (京都府京都市)
    • 年月日
      2014-05-25
  • [図書] The Sea Cucumber Apostichopus japonicus2015

    • 著者名/発表者名
      Akamine Jun, Yucen Bai, Muyan Chen, Fei Gao, Jean-Francois Hamel, Seonggul Hong, Yao Huang, Jong Yong Ho, Chenggang Lin, Guangbin Liu, Jinxian Liu, Shilin Liu, Quan Liu, Alessandro Lovatelli, Yuze Mao, Annie Mercier, Yang Pan
    • 総ページ数
      454 (399-421)
    • 出版者
      Elsevier
  • [図書] 展示する人類学――日本と異文化をつなぐ対話2015

    • 著者名/発表者名
      高倉浩樹、落合雪野、水谷裕佳、山崎幸治、山口未花子、伊藤敦規、久保田亮
    • 総ページ数
      272 (21-49)
    • 出版者
      昭和堂
  • [図書] 小さな民の地域学――もう一つのグローバル化を求めて2015

    • 著者名/発表者名
      長津一史、甲斐田万智子、佐竹眞明
    • 総ページ数
      in press
    • 出版者
      上智大学出版会
  • [図書] アジアの自然と文化4 イモ・魚からみる東南アジア――インドネシア・マレーシア・フィリピンなど2014

    • 著者名/発表者名
      落合雪野、赤嶺淳
    • 総ページ数
      51
    • 出版者
      小峰書店
  • [図書] Rethinking Asian Food Heritage2014

    • 著者名/発表者名
      Sidney Cheun, Akamine Jun, Casey Lum, Yi Chieh Lin, James Farrer, Serizawa Satohiro, May Chang, Maria Tam, Mohsina Mukadam, Matsukawa Kyoko, Nir Avieli, Michael Hitchcock
    • 総ページ数
      313 (107-127)
    • 出版者
      Foundation of Chinese Dietary Culture
  • [図書] ナマコ漁業とその管理――資源・生産・市場2014

    • 著者名/発表者名
      廣田将仁、赤嶺淳、江口勝久、牧野光琢、五嶋聖治、成田正直、若林克典、松尾みどり、浜野龍夫、山名裕介、堀正和、吉田吾郎、浜口昌巳
    • 総ページ数
      326 (1-26)
    • 出版者
      恒星厚生閣社
  • [図書] 東南アジア、水産物貿易のダイナミズムと新しい潮流2014

    • 著者名/発表者名
      山尾政博、Achmad Zamroni、赤嶺淳、天野通子、鳥居亨司、山下東子
    • 総ページ数
      217 (165-185)
    • 出版者
      北斗書房
  • [備考] Balat's Office

    • URL

      http://www.balat.jp/

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公開日: 2016-06-01  

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