研究課題/領域番号 |
25283010
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
幡谷 則子 上智大学, 外国語学部, 教授 (00338435)
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研究分担者 |
山本 純一 慶應義塾大学, 環境情報学部, 名誉教授 (00276411)
小池 洋一 立命館大学, 経済学部, 教授 (40328018)
宇佐見 耕一 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (50450458)
重冨 惠子 都留文科大学, 文学部, 講師 (60405074)
新木 秀和 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (80276039)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 連帯経済 / 社会的経済 / 協同組合運動 / フェアトレード / ラテンアメリカ / オルタナティブ / 社会運動 |
研究実績の概要 |
最終年度にあたる平成28年度は、個々の研究内容を一層深化させるとともに、最終報告書作成の構想を描きながら、補足的な調査研究を行った。5月はコロンビアのサンヒル大学より、同国における連帯経済、特に農村部の協同組合運動と教育に長年携わってきた専門家であるミゲル・ファハルド(Miguel Fajardo)教授を招き、東京と関西で研究交流を行うとともに、日本の実践についても合同で訪問調査を行った。国内研究会はファハルド教授および明治学院大学国際平和研究所研の中野佳裕研究員を講師として開催した会も含め、計6回開催した。 海外調査は幡谷がコロンビアでの実態調査を継続(6月~10月および2月から3月)したほか、10~12月および2月、欧州の連帯経済の議論の潮流について新たな知見を得ることと研究交流を深める目的でフランス、スペインとポルトガルでインタビュー調査と資料収集にあたった。山本は12月にメキシコでサパティスタの連帯経済について追跡調査したほか、オアハカおよびメキシコ市でも事例研究を実施した。小池は「連帯経済の国際動向に関する調査」をテーマに、パリでブラジルの連帯生産チェーン、ジュスタ・トラマと連携するヴェージャ・フェアトレード社訪問とフランスの専門家へのインタビューを行った。重冨は2月にペルーおよびボリビアにて、連帯経済活動の事例研究としての都市農業に関する情報収集を行った。 中間成果報告の一環として、日本ラテンアメリカ学会の定期大会でパネル「ラテンアメリカにおける連帯経済-制度化と課題」を構成し、全員が担当国別に報告を行った。幡谷はコロンビア、ブラジル、フランス、ポルトガルで日本の事例との比較も含む報告を行った。 日本における事例研究として、5月に関西よつ葉連絡会を再訪し、能勢農場見学を行ったほか、3月に埼玉県小川町の有機農業と地域おこしに関する調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4年間の研究実施計画に照らし、おおむね順調に研究は進んでおり、成果の発信も今年度は積極的に行った。海外の連帯経済関連ネットワークとの交流や日本からの成果発信という点でも、今年は挑戦することができた。また、欧州および日本の事例を訪問調査する機会も増やすことができたため、比較の分析視点を得ることができた。 しかしながら、4年間の成果報告書のとりまとめにはさらに参加者全体での議論や各論の分析軸の精緻化が必要であり、そのための時間が不足した。そのため、1年間の継続申請を2月に行い、これが認められたため、平成29年度1年間を使って出版にむけた最終報告書の作成に集中したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、国内研究会を数回開催し、各分担者の執筆ドラフトを持ち寄り議論することを予定している。7-8月をめどに代表者である幡谷が総論の草稿を書き、各分担者は各国の議論と事例をとりまとめる。 海外からの専門家の訪日が予定されており、彼らを国内研究会の特別講師として招き、適宜研究会を開催する。年末までに草稿が取りそろった段階で、合宿形式で集中討論を行い、出版を前提とした最終報告書の全体像を確定してゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の分担者が、当初予定の海外調査が実施できなかったことなどにより、助成基金の一部を平成28年度内に使用することができなかった。また、今年度は各参加者の個別の調査活動に集中する必要性がより大きかったため、国内研究会の開催が昨年度と比較して少なく、また講師謝礼の支払発生も低く抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度1年分の継続が認められたため、この年度内に国内研究会を複数回開催する。関西など東京以外での合宿討論会も予定している。
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