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2016 年度 実績報告書

多角的視座からの「感情」現象の哲学的解明を通じた価値倫理学の新たな基礎づけの試み

研究課題

研究課題/領域番号 25284002
研究機関東京大学

研究代表者

古荘 真敬  東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20346571)

研究分担者 野矢 茂樹  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50198636)
信原 幸弘  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (10180770)
高橋 哲哉  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60171500)
梶谷 真司  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50365920)
石原 孝二  東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30291991)
原 和之  東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (00293118)
山本 芳久  東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (50375599)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード感情 / 価値 / 肯定 / 悲劇 / 運命 / エディプス・コンプレックス / 身体化された心 / 基地問題
研究実績の概要

平成28年度は、ここまでの諸成果をあらためて振り返りながら、「新たな価値倫理学の基礎つけ」という目標のため、われわれはさらに何を考察すべきについて各自の検討を進めた1年間であった。
とりわけ幸いであったのは、代表者の古荘と分担者の信原、山本の3名が、その検討成果の一端を、哲学会第55回研究発表会にて開催された「ワークショップ 情動の哲学」において発表する機会を得、充実した討論を楽しむことができたことである。そこではまず山本が、トマスの感情哲学から導きうる強力な「肯定的な生への促し」について提題し、これを承けて信原が、そうした促しの限界を示唆することになりうるかもしれない「悲劇的ディレンマ」の極限的事例を議論の俎上にのせ、そのようなケースにおける感情の「適切さ」について、われわれはどのようなことを言い得るか、という問題を提起した。これら両論を慎重に突き合わせ、フロアとの議論を深めることを通じて、われわれの「倫理」と「感情」の連関を今一度とらえかえす機縁が探られたのである。古荘は、この際の議論において得た着想を、後日、九鬼周造の運命論を再解釈するアイディアへと展開し、研究成果1に挙げた論考を公にすることができた。
また、この他にも、昨年度の成果の延長において、分担者の原は、ラカンの「欲望の弁証法」とドゥルーズの「動的発生」の議論を突き合わた独特の視座から、いわゆるエディプス・コンプレックスの問題性を新鮮に捉え返すことを試み、共通感覚と感情、そして精神障害の関係を「身体化された心」の観点から論じようとする分担者の石原によるさらなる研究の展開とあわせて、本共同研究の展開に多大な貢献をなした。さらにはまた、いわゆる「犠牲」の論理に依存した感情的倫理の問題性を考究してきた分担者の高橋は、基地問題のような政治問題のもつ価値倫理学的本質を照射する考察をさらに深化させることができた。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (7件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] 「アンテ・アンチ・オイディプス」あるいはもう一つの「オイディプス」─ラカンの「欲望の弁証法」とドゥルーズの「動的発生」2017

    • 著者名/発表者名
      原和之
    • 雑誌名

      『I.R.S.――ジャック・ラカン研究』

      巻: 15 ページ: 25-66

  • [雑誌論文] トマス・アクィナスの「沈黙」2017

    • 著者名/発表者名
      山本芳久
    • 雑誌名

      『文學界』文藝春秋社

      巻: 2月号 ページ: 260-261

  • [雑誌論文] 運命を生きること 九鬼周造の運命論にかんする一考察2016

    • 著者名/発表者名
      古荘真敬
    • 雑誌名

      『現代思想 2017年1月臨時増刊号 九鬼周造』

      巻: 44-23 ページ: 106-117

  • [雑誌論文] 「反基地」言説のポリティクス2016

    • 著者名/発表者名
      高橋哲哉
    • 雑誌名

      人民の歴史学

      巻: 208 ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 「県外移設」/「基地引き取り」論をめぐって――新城郁夫氏「日本占領再編ツールとしての沖縄返還」についてのノート2016

    • 著者名/発表者名
      高橋哲哉
    • 雑誌名

      うるまネシア

      巻: 21 ページ: 73-89

  • [雑誌論文] 救済の二つの時間:三島を用いてラカンを2016

    • 著者名/発表者名
      原和之
    • 雑誌名

      井上隆史・久保田裕子・田尻芳樹・福田大輔・山中剛史編『混沌と抗戦:三島由紀夫と日本、そして世界』水声社

      巻: - ページ: 331-345

  • [雑誌論文] トマス、スコトゥス、スアレス:「スコラ哲学」の解体と再建2016

    • 著者名/発表者名
      山本芳久
    • 雑誌名

      秋富克哉他編『続・ハイデガー読本』所収、法政大学出版局

      巻: - ページ: 44-51

  • [学会発表] 「いのちの経営~キリスト教とイスラム教の対話を通して~2017

    • 著者名/発表者名
      山本芳久
    • 学会等名
      第4回地球市民教育フォーラム
    • 発表場所
      自由学園南沢キャンパス(東京都東久留米市)
    • 年月日
      2017-02-18
    • 招待講演
  • [学会発表] ディオニシウス受容の多面性:マクシモスとトマス・アクィナス2017

    • 著者名/発表者名
      山本芳久
    • 学会等名
      第158回教父研究会例会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)
    • 年月日
      2017-02-17
    • 招待講演
  • [学会発表] 悲劇的ディレンマと情動(ワークショップ「情動の哲学」)2016

    • 著者名/発表者名
      信原幸弘
    • 学会等名
      哲学会第55回研究発表会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)
    • 年月日
      2016-10-29
  • [学会発表] トマス・アクィナスの感情論(ワークショップ「情動の哲学」)2016

    • 著者名/発表者名
      山本芳久
    • 学会等名
      哲学会第55回研究発表会
    • 発表場所
      東京大学本郷キャンパス(東京都文京区)
    • 年月日
      2016-10-29
  • [学会発表] “Peut-on concevoir une dialectique ≪ feminine ≫ du desir ? : Lacan avec Klein”2016

    • 著者名/発表者名
      Kazuyuki HARA
    • 学会等名
      Erasmus Mundus Europhilosophie : Journee d’etudes ≪ Genre et philosophie ― le sujet universel a l’epreuve de la difference des sexes ≫
    • 発表場所
      法政大学市ヶ谷キャンパス(東京都千代田区)
    • 年月日
      2016-06-06
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Common Sense and Embodiment. Revisiting Phenomenological Psychopathology of Blankenburg, Kimura, and Stanghellini on Schizophrenia and Depersonalization.2016

    • 著者名/発表者名
      Kohji Ishihara
    • 学会等名
      Embodiment. Phenomenology East/West
    • 発表場所
      ベルリン自由大学(ベルリン(ドイツ))
    • 年月日
      2016-05-05
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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