研究課題/領域番号 |
25284003
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金山 弥平 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00192542)
|
研究分担者 |
木俣 元一 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00195348)
畝部 俊也 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (10362211)
頼 偉寧 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (10528251)
川口 潤 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70152931)
中村 靖子 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (70262483)
兼本 浩祐 愛知医科大学, 医学部, 教授 (80340298)
大平 英樹 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90221837)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 哲学 / 記憶 / 幸福 / 仏教 / サンスクリット / ノスタルジア / 意思決定 / ギリシア;インド |
研究実績の概要 |
本記憶研究は、哲学を中心軸とし、インド思想、文学、美学、心理学、精神科学の共同の下、意識や認識の成立・知の探求・社会生活・幸福にとっての記憶の役割を探り、新たな研究展開の基盤となるものを準備することを目指す。 平成26年度はこの目標実現に向けて、5月に研究分担者、川口が「人はなぜなつかしさを感じるのか-記憶の心理学から-」の発表を行ない、7月には「記憶が繋ぐもの」というタイトルで、日本・インド国際シンポジウム(2014年11月)のための構想発表研究会をもった。国際シンポジウムは、11月9日~10日、 International Symposium on Memory and Human Well Being: Interdisciplinary Perspectivesという題で、ボンベイ工科大学にて開催した。ボンベイ工科大学からは現代哲学、文学、心理学、音楽の分野で4名が発表、また日本からは哲学、教育、インド哲学、心理学、ギリシア古代哲学の分野で6名が発表し、双方にとって非常に有益な議論を交わすことができた。各発表者の具体的テーマは次のとおりである。1:幸福と過去の経験、2:記憶とロジカル・シンキング、3:記憶と自己同一性、4:仏教における記憶手段としての筆記、5:サンスクリットの伝統的学習における記憶法、6:過去の経験に基づく意思決定の脳科学的分析、7:ノスタルジアとエピソード記憶、8:展望的記憶、9:古代ギリシアの記憶術と筆記、10:ヒンドゥスタン音楽における記憶術。成果は報告書として印刷中である。 また11月後半にはカナダからマーク・マクフェラン教授(SFU)を招聘し、本研究と関連して名古屋大学で2回、京都大学で1回、講演会を開催した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は国内での研究集会の回数を25年度ほど頻繁に行なうことはなかったが、25年度の勢いに乗り、インドで国際シンポジウムを開催することができた。ボンベイ工科大学でのシンポジウムは、研究の新たな国際展開の基盤を築くものであった。シンポジウムの後、代表者と分担者の畝部はプネー大学にも回り、同大学の研究者とも親交を深めることができた。インドでのシンポジウムの土台の上に、27年度は台湾で同様のシンポジウムを開催する予定である。すでに日程や発表者の調整に入っている。 またカナダから招聘したマクフェラン教授の講演も本研究にとって刺激的であった。27年度はチリからマルセロ・ボエリ教授を招聘することになっている。 こうした成果をもとに英語による書物刊行を目指しているが、これも順調な計画の進展の賜物と言うことができよう。
|
今後の研究の推進方策 |
27年度も、26年度と同じ方針で、研究集会・講演会を一般公開の形で開催し、各研究者の発表を通して、本研究に携わる各自が自身の研究上の示唆を得るとともに、各自、新たな発想を質疑応答を通してさらに精緻化し、将来の研究の基盤としていく。並行して、各研究者は各専門領域において、国内外での資料収集、実験、意見交換等を通し、自らの研究の精度を高めていく。また今年度は国際シンポジウムを台湾の台北と嘉義で開催する予定である。同時に、3年にわたる研究の諸成果を一冊の英語著書にまとめて国際出版する計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
インドで行なった国際シンポジウムがことのほか安価ですんだ。またその成果を収めたProceedingsの印刷費が次年度回しになった。さらに最終年度の国際シンポジウム、また3年の成果を集成したものを書籍として出版するための費用にも配慮した。
|
次年度使用額の使用計画 |
夏、台湾の台北と嘉義で国際シンポジウムを行なう予定である。さらに3年の研究成果を収めた書籍(そのなかには日本での各研究者の発表、インド、台湾での国際シンポジウムの発表も収められる予定である)を出版するために、「次年度使用額」を平成27年度の予算とあわせて用いる。
|