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2014 年度 実施状況報告書

フランス・エピステモロジーの伏流としてのスピノザ

研究課題

研究課題/領域番号 25284006
研究機関大阪大学

研究代表者

上野 修  大阪大学, 文学研究科, 教授 (10184946)

研究分担者 米虫 正巳  関西学院大学, 文学部, 教授 (10283706)
近藤 和敬  鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (90608572)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードエピステモロジー / フランス / スピノザ
研究実績の概要

・第3回研究会 2014年7月26・27日 (大阪大学豊中キャンパスにて)
ギヨーム・ルブラン:対抗文化としての哲学/上野修:スピノザの幾何学的証明について/近藤和敬:カヴァイエスのスピノザ主義をめぐる若干の論点について/中村大介:カヴァイエスのスピノザ主義の一断面―概念とコナトゥス
・第4回研究会 2015年3月7・8日 (鹿児島大学法文学部にて)
近藤和敬:Knox Peden, Spinoza Contra Phenomenology (2014) について/中村大介:現象学のプリズムから見えるスピノザ主義―カヴァイエスのフッサール解釈再考/杉山直樹:スピノザの方へ?―反デカルト的方法観の諸動向と帰趨/米虫正巳:ドゥルーズ/スピノザとゲルー/フィヒテ/朝倉友海:ドゥルーズにとってのスピノザ/上尾真道:科学の主体と精神分析の対象―ラカンのエピステモロジーの遍歴/信友建志:後期ラカンにおける女性の論理と直観主義について/小田裕二朗:欲望は人間の本質である―スピノザとラカンにおける主体とその欲望

[本年度の成果]スピノザの伏流はブランシュヴィックにまで遡れることを確認。そこから弟子のカヴァイエス→ドゥサンティ→アルチュセールという系譜、同じく弟子のゲルー→アルチュセールという系譜を確認した。加えてゲルー→ヴュイユマン→ドゥルーズという系譜がたどれることがわかった。系譜は末尾になると偏奇が認められる。アルチュセールにはブランシュヴィックのヘーゲル主義に逆対応する偏奇が、ドゥルーズにはフィヒテ化(ゲルーのフィヒテ論:知=生=主体)という偏奇がある。偏奇はカヴァイエスのスピノザ(主体なき知の産出)、ゲルーのスピノザ(存在と真理≠生の主体)、そしてラカンのスピノザ(知と真理の分裂の主体)との対置で測られる。スピノザは「意識の哲学」への対抗軸として機能することがあらためて確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、年度内に2回の研究会(そのうち一日は外国人研究者による特別講演を含む)を開くことができた。研究協力者にも順調に発表や討議参加してもらうことができた。

今後の研究の推進方策

・引き続き年度内に2回(各2日間)の研究会を開く。そのうち一日は外国人研究者(H. Benis-Sinaceur)の招聘講演とする。
・研究成果をまとめて書籍化する方向で煮詰めるために、従来の発表形式に加え、研究協力者を交えた集中討議の時間を大きくとる。
・さらに、2015年度日仏哲学会秋季大会で本研究に関わるテーマでシンポジウムを行う予定(研究代表の上野がシンポジウムのオーガナイズと司会を務め、研究協力者の中から提題者を出す)。本研究の成果の一端を学会員に知ってもらう機会とする。

次年度使用額が生じた理由

外国図書の選定発注に手間取って年度内に納品が間に合わないものがあったため、物品費の未使用が生じた。
また研究会参加者のなかに旅費を自らの獲得補助金でまかなうことを申し出られた方が何人かあり、そのため旅費の未使用が若干生じた。
さらに文献データベース入力の件数が予想より少なく、そのため人件費・謝金に若干のみ使用が生じた。

次年度使用額の使用計画

外国図書の選定発注をすみやかに処理して物品費に当てる。また次年度は外国人研究者の招聘講演(フランスから)を予定しており、これに関わる旅費および人件費・謝金に相当額を当てる。もし余裕があれば通常の研究会に加えて主要メンバーによる集中討議の機会を設け、このための旅費に当てる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ENTITE = EVENEMENT2015

    • 著者名/発表者名
      Masami KOMEMUSHI
    • 雑誌名

      哲学研究年報

      巻: 48 ページ: 1-10

  • [雑誌論文] 存在論をおりること、あるいは転倒したプラトニズムの過程的イデア論2015

    • 著者名/発表者名
      近藤和敬
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 43 ページ: 200-215

  • [雑誌論文] まなざしなき無限、記憶なき永遠―スピノザの奇妙な形而上学2014

    • 著者名/発表者名
      上野修
    • 雑誌名

      哲学

      巻: 65 ページ: 56-72

    • オープンアクセス
  • [学会発表] The Infinite without View, Eternity without Memory : Spinoza contrasted with Leibniz2014

    • 著者名/発表者名
      Osamu Ueno
    • 学会等名
      De Vereniging het Spinozahuis
    • 発表場所
      Rijnsburg, The Netherlands
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-15
    • 招待講演
  • [学会発表] 出来事と存在 ― ドゥルーズとハイデガー2014

    • 著者名/発表者名
      米虫正巳
    • 学会等名
      関西哲学会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2014-10-25 – 2014-10-25
  • [学会発表] 身体の真理としての魂―アンリとスピノザ2014

    • 著者名/発表者名
      上野修
    • 学会等名
      ミシェル・アンリ哲学会
    • 発表場所
      成城大学
    • 年月日
      2014-06-15 – 2014-06-15
    • 招待講演
  • [学会発表] ENTITÉ = ÉVÉNEMENT2014

    • 著者名/発表者名
      Masami KOMEMUSHI
    • 学会等名
      The 2nd International Deleuze Studies in Asia Conference 2014
    • 発表場所
      大阪大学
    • 年月日
      2014-06-07 – 2014-06-07
  • [学会発表] 数学のエピステモロジーの可能性について――カヴァイエスの「概念の哲学」を基軸として2014

    • 著者名/発表者名
      近藤和敬
    • 学会等名
      応用哲学会
    • 発表場所
      関西大学
    • 年月日
      2014-05-11 – 2014-05-11
  • [図書] スピノザ『神学政治論』を読む2014

    • 著者名/発表者名
      上野修
    • 総ページ数
      309
    • 出版者
      筑摩書房

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公開日: 2016-05-27  

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