研究課題
最終年度に当たる今年度は研究の総括と位置づけ、前年度に引き続き計4回の研究会を開いた。・第5回研究会(2015.6.7/8):フランスから Hourya Benis Sinaceur 教授を招聘し、「ジャン・カヴァイエス:概念の哲学 その下部構造の諸要素」と題する公開講演会を開いた。エピステモロジーの系譜の要となるカヴァイエスはカントやフッサールを批判しつつ数学的内容の内的必然性による自己発展を主張していたこと、そしてそれが観念の自律的展開というスピノザ主義によるヘーゲル主義の修正を伴っていたことが明らかにされた。翌日にクローズドの集中討議を開き、本科研の成果を論文集「主体の論理・概念の倫理」にまとめる構想が立てられた。・第6回研究会(2015.8.31):日仏哲学会シンポジウム「現代フランス哲学の知られざるスピノザ」に向けて、提題をめぐって討議した。エピステモロジー・サークルの『分析手帖』に関わったラカン、カンギレムらのスピノザへの共感が明らかとなった。・第7回研究会(2016.2.27/28):2日にわたり、上述の論文集の原型となる各メンバーの原稿の合評を行なった。ドゥサンティ、ブランシュヴィック、カヴァイエス、ヴュイユマン、ラカン、カンギレム、ゲルー、ドゥルーズ、そしてスピノザが論究の対象となった。バシュラールはこのスピノザ的伏流には位置づけがたいことがわかった。・第8回研究会(2016.3.22):代表者と分担者による鼎談「フランス・エピステモロジーの伏流としてのスピノザ:総括と展望」を行なった。ブランシュヴィック、カヴァイエス以来、フランス・エピステモロジーの系譜においてスピノザの名が重要な符牒として機能していたことを俯瞰的に確認した。鼎談は文字に起こして論文集に組み込むことにした。
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談 : speak, talk, and think
巻: 105 ページ: 57-75
ミシェル・アンリ研究
巻: 5 ページ: 1-13
アルケー
巻: 23 ページ: 55-67
鹿児島大学法文学部紀要人文科学論集
巻: 82 ページ: 43-55