研究課題/領域番号 |
25284011
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤井 正人 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (50183926)
|
研究分担者 |
梶原 三恵子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00456774)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ヴェーダ / ジャイミニーヤ派 / サーマ・ヴェーダ / ヴァードゥーラ派 / ヤジュル・ヴェーダ / インド / ケーララ州 / サンスクリット |
研究実績の概要 |
本研究では、藤井正人(研究代表者)、梶原三恵子(研究分担者)、井狩彌介(連携研究者、以下同)、手嶋英貴、大島智靖、Asko Parpola、Finnian Moore Gerety の7名の研究者が分担して、ジャイミニーヤ派サーマ・ヴェーダとヴァードゥーラ派ヤジュル・ヴェーダの文献集成と翻訳研究を行う。平成29年度の研究実績は以下のとおりである。
<文献集成> 写本資料を中心とする伝承諸資料をデジタル化し整理した原資料、それらに関するカタログ、主要文献の校訂テキストを集成した両学派の文献コレクションの編集を行った。藤井、梶原、手嶋が両学派の伝承と文献の追加調査のために、平成30年2月に南インド・ケーララ州において共同で現地調査を行い、ヴェーダ学匠家系の二家において現地語(マラヤーラム語)によるヴェーダ補助文献を収集し、文献コレクションに加えることができた。
<翻訳研究> 両学派文献の内、Jaiminiya-Upanisad-Brahmana(担当:藤井)、Jaiminiya-Srautasutra(担当:Parpola)、Vadhula-Srautasutra(担当:井狩、藤井、梶原、手嶋、大島)、Vadhula-Grhyasutra(担当:井狩、梶原)の訳注の作成と、それらの文献を中心に両学派の文献研究を進めた。特に Vadhula-Srautasutra に関しては、本研究参加者を中心とした「ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ研究」研究会を月に一度開催して研究を行った。本研究の成果の一部を、藤井と手嶋が平成29年9月にクロアチア・ドゥブロブニクで開催された国際サンスクリット叙事詩・プラーナ学会で、梶原、井狩、大島が平成30年3月に東京大学文学部で開催(共催)したシンポジウムで発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
事業目的の希少ヴェーダ学派の文献集成と翻訳研究の内、前者はおおむね計画通りに遂行できている。後者について、ジャイミニーヤ派に関しては、藤井とParpolaが連絡を取り合ってウパニシャッドとシュラウタスートラの研究を順調に進めた。ヴァードゥーラ派に関しては、本研究の参加者を中心に「ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ研究」研究会を月に一度開催して研究を進めたが、研究の進展に伴って研究すべき事項が増大して想定以上の時間を要することとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
<文献集成> 写本資料を中心とする伝承諸資料をデジタル化し整理した原資料、それらに関するカタログ、主要テキストの校訂テキストからなる両学派の文献コレクションの集成を完成させる。両学派の伝承と文献の追加調査を行うとともに、両学派の伝承を含めたケーララ州のヴェーダ伝承と、伝承の主体となっているバラモン社会の関係に関する研究をまとめ、平成30年9月に日本印度学学仏教学会でパネルを開いて発表する予定である。 <翻訳研究> Jaiminiya-Upanisad-Brahmana、Jaiminiya-Srautasutra、Vadhula-Srautasutra、Vadhula-Grhyasutra の4文献の訳注作成を、各文献の担当責任者を中心に進めるとともに、それらの文献を中心に両学派文献の総合的な研究を行う。研究の終了時に、本研究参加者を中心とした「ヴァードゥーラ・シュラウタスートラ研究」研究会を拡大した研究集会を開催して、本研究の総括と研究成果の取りまとめを行う計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)事業の進捗について当初の計画より若干の遅れが生じたため(上記「7. 現在までの進捗状況」参照)、補助事業期間の延長を申請した。それに応じて、本年度の研究費の使用を抑えたために次年度使用額が生じた。 (使用計画)本研究参加を中心とする研究会を定期的に開催して研究を進めるとともに、本研究の総括と研究成果の取りまとめのための研究集会を次年度末に開催する。
|