研究課題
本研究は刺繍により仏教尊像や仏教的主題を表現した「繍仏」について、日本中世~近世期を中心に、同時期の中国や朝鮮半島など、東アジアの作例をも視野に収めつつ、現存作例の調査に基づいて図像・技法・様式を分析し、繍仏を総合的・体系的に捉えることを目的とするものであり、29年度も28年度に引き続いての実見調査と、最終年度であることを踏まえた整理を実施することができた。国内に所在する中世~近世期の作品について実見調査を実施した。主な作品は以下の通りである。重要文化財刺繍阿弥陀三尊図(石川・西念寺蔵)、刺繍種子阿弥陀三尊図(大阪・金剛寺蔵、刺繍種子阿弥陀四尊図(京都・智恩寺蔵)、刺繍釈迦涅槃図(千葉・松翁院蔵)、刺繍釈迦涅槃図(岐阜・盛巌寺蔵)、刺繍釈迦八相涅槃図(京都・天龍寺蔵)、刺繍種子(滋賀・石道寺蔵)このうち刺繍釈迦涅槃図1幅(千葉・松翁院所蔵)は縦が3メートルを超える大型の刺繍涅槃図(江戸時代・17世紀)であり、浮世絵師として著名な菱川師宣とその父吉左衛門が共同制作した作品として、近年注目されている作品である。大型で全体像の写真撮影や調査が困難であったため、大型スキャナーを現地に設置し、高精細の画像を撮影した。なお本調査は千葉市美術館および国際浮世絵学会との共同調査として実施した。いくつかの作品については奈良国立博物館との共同調査を実施した。同館では平成30年度に、繍仏をメインテーマとする特別展が開催予定であり、展示予定作品に本研究調査の対象であった作品が多数ピックアップされ、また研究代表者も展覧会図録に論考を寄稿予定であるなど、展覧会の充実に大きく資するものとなったと考える。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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