研究課題/領域番号 |
25284037
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
佐藤 時啓 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (20187214)
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研究分担者 |
安田 友重 (村上 友重) 東京藝術大学, 美術学部, 助教 (50619799)
永井 文仁 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (50647154)
安田 暁 福山大学, 人間文化学部, 講師 (00640228)
塚田 史子 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (00709785)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メディア芸術 |
研究概要 |
平成25年度は市販コンシューマー用スキャナーを改造し新たな機構を付け加えることで8×10inchフィルムまでの超高精細データを取得可能なスキャンシステムを完成させる研究を行った。 フラットベッドタイプのスキャナーは安価に組み立てられ、幅広いフィルムサイズに対応できるが、その構造から、フィルムの平面性を保持することが難しい。またガラス越しにスキャンするために、大型フィルムはニュートンリングが生じるなどの問題があった。バキューム式フィルム保持システムは光学系とは逆方向にガラスを用い、そこにバキューム吸着させることで、平面性を保持し、ガラスによる内面反射の問題などを除去するシステムである。 平成23-24年度の予備研究で開発してきた、スキャナーのフィルム保持部をバキュームシステムによって平面性を確保する機構をより進化させ、金属から切り出し設計し専用のフィルムフォルダーを制作した。新開発したフィルムフォルダー完成形に近づいている。その研究と平行して、新たな発想によるフォルダーも開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究の目標であった、新開発バキューム式フィルム保持システム用ホルダーを早期完成し、次年度導入予定であった高解像度デジタルカメラシステムを導入できた事から来年度予定していた研究を進める事が出来た。また、研究過程で発見した新たなフィルム吸着方法の研究も平行して進めており、十分進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はさらに大判のフィルムから効率良くスキャンする方法を開発する。本年の研究より得た知見によって新たな仕組みの画像素子自動駆動キャプチャリングシステムを構築し、最大最高品質デジタルデータを作成可能とする。従来のスキャナーは、フィルムと同サイズ以上の本体サイズが必要となり、それ以上大きなサイズのフィルムをスキャニングすることは事実上困難である。それに対して、スキャナーセンサー部分を自由可動式にすることによって、さらに大きなサイズや、平面性の伴わない物体をスキャニングすることが可能になる。このシステムにおいては、汎用性の伴った高クオリティデジタルバックおよびカメラのセンサーを利用して8×10inchフィルム以上のデータをデジタル化することを目指す。これは、分割キャプチャー、デジタル合成システムを構築することであり、超大容量データが作成可能となり、超高精細データを得ることを可能とする。 平成27年度は開発機器の比較検証および、制作された超高解像度画像形成システムを利用した作品による展覧会を開催し広くその可能性を問う成果発表を行う。超高解像度画像形成システムを完成させ、その新システムによって取得された画像と、本年度の重点開発機器であったバキュームスキャニング方式を用いた高精細スキャニングシステムによって取得された画像の比較検討を行う。比較検討内容については、画質が中心となるが、その他、今後の実際の運用においては重要な要素となる取得にかかる労力やコスト等も材料となる。比較検討後、情報を整理しアーカイブ化する。本研究で開発したシステムによって実際に制作を行う。それらを、一般の人にも開かれた公共の場である東京芸術大学美術館陳列館にて展覧会を行い、社会・国民へと広く発表していく。なお、2年目後半から、その成果発表展覧会に向けて、印刷物等の準備を開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究の進める過程で、製作機器の検証及び比較に次年度購入予定であった、高解像度デジタルカメラPHASEONE社製が急遽必要となった為、前倒し請求を行った。 平成26年度導入予定だったものを早期導入できた事で研究が比較的早く進める事が出来た。また、機器の使用方法など実際の研究に向けて十分に準備ができたのも次年度の研究に向けてよい成果である。平成26年度はこの機器を継続して使い、画像素子自動キャプチャリングシステムの研究を行う予定である。
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