研究課題/領域番号 |
25284040
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 幹郎 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60185874)
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研究分担者 |
田代 真 国士舘大学, 文学部, 教授 (90221382)
山本 佳樹 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (90240134)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 表象文化論 |
研究概要 |
人類の長い文化史に単純にとどまらない視覚的芸術歴史の媒体変化とテクノロジー変化が、いかに過去の芸術史を踏まえたうえで革新的に実践されて21世紀にいたっているのかをリサーチするため、静止画媒体たるイタリア絵画の動的(動画像)的媒体化たる「活人画」(「映画」産業が開始する前の「演劇」と「絵画」の合体化)の現地調査を実施し、他方、人類史における動的テクノロジー媒体(船舶、列車、自動車、飛行機等)の絵画化や写真化や映画化からコンピュータ画像化の具体的芸術作品の現地調査(造船業として日本と結合し、「風景画」という絵画の新ジャンルを世界史上最初に構築したオランダにおける膨大な「海景画」のリサーチおよび、動的運動媒体たる船舶の視覚的静止画像から動的画像の現地調査、そしてイギリスおよび日本の江戸時代における自然と人工の合体媒体たる独自の広大庭園の美術化が視覚媒体において、いかに歴史的テクノロジー的に現在まで延長されているのかの現地調査)、さらに映画のスクリーン上における空間化のダイレクトな実証的被写体たる建築(そもそも映画館も映画制作もサウンドステイジという両面的建築物において古典的ハリウッド映画は世界に浸透する視聴覚媒体ですから)のアムステルダムにおける最新映画館EYEの画期性の現地調査を実施したのが本研究の実績です。1年目の研究実績にもとづく新規の人類文化史の解釈は、絵画、演劇、小説、写真、映画、漫画、ヴィデオ、コンピュータといった多様な媒体において大きな共通点として、人間の精神構造を哲学的にも科学的にも究明しながらも、つねにそれらが物語パターンと結合することが、多様な視聴覚媒体の長い歴史において、テクノロジー媒体が大いに変容しても、人類の精神的文化史が、それほど大きく変化していない(多様性は増大しても本質性の変化は大きくない)ことが分析可能になりつつあります。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
視覚的芸術歴史のテクノロジー化と過去の芸術史との関係を多様な角度からリサーチするべく国内外での調査を積極的に行い、大きな収穫を得ることができました。加藤幹郎著『荒木飛呂彦論 マンガ・アート入門』(筑摩書房)では、小説と絵画の合体媒体たる「漫画」という従来、視聴覚的娯楽媒体と長年、世界中でみなされていた媒体が、小説、絵画、写真、映画といった人類の長年の視覚的芸術媒体との連携性が、いかに緻密なものであるかを提示する画期的な芸術漫画媒体として分析可能となったがゆえに、まず日本漫画史が世界漫画史上、単純な娯楽媒体ではなく、人間精神の多様性を表象する画期的芸術媒体であることが実証されました。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、日本をふくめた世界各国の表象芸術メディア美術館、フィルム・アーカイヴ、高水準の国際映画祭で開催される質量の高い古典芸術映画作品レトロスペクティヴなどへのリサーチに出かけます。 そのうえで、リサーチ結果を学会や本研究グループにて協議、討議します。無論、海外リサーチのさいは各国・各大学の表象メディア芸術学者達との議論も実施します。得られた成果を取りまとめ、中間論文を公刊します。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行額に誤差が生じた。 使用計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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