研究課題/領域番号 |
25284054
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
竹内 勝徳 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (40253918)
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研究分担者 |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10216731)
城戸 光世 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (10351991)
大島 由起子 福岡大学, 人文学部, 教授 (40168919)
高野 泰志 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (50347192)
井上 間従文 一橋大学, その他の研究科, 准教授 (50511630)
稲冨 百合子 福岡大学, 公私立大学の部局等, 講師 (50526514)
古屋 耕平 和洋女子大学, その他部局等, 助教 (70614882)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 英米文学 / アメリカン・ルネサンス / アフェクト理論 |
研究実績の概要 |
平成26年8月に夏季セミナーを開催し、国内のトップ級アメリカ文学研究者諸氏を招いて、アフェクト理論に関する研究会を実施した。その中でアフェクト理論を文学研究に応用する方策を議論し、メルヴィル、ホーソーン、ジェイムズ、ポー、エマソンらアメリカン・ルネサンス作家の作品やその背景となる思想を身体や情動の観点から再検討することができた。その中で、平成27年度に発行する図書の構想を明確化し、各自の論点を深めることとした。この間、ニューヨーク市立大学のデイヴィッド・レノルズ氏とはメールで連絡を取り合い、アフェクト理論とアメリカン・ルネサンス研究の関連性についての意見交換を行った。また、同じく、ニューヨーク市立大学のエリック・ロト氏とは現地で直接面談し、アメリカン・ルネサンス作家と19世紀アメリカの音楽文化の関りについて意見を聴取した。さらに、スタンフォード大学のシャン・ンガイ氏とはメールで連絡をとり、上述の図書の中で、ンガイ氏のUgly Feelingsからメルヴィルの『信用詐欺師』に関する論考を訳出して掲載することの同意を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
まず、本研究は、アフェクト理論を再構築し、その射程を近代全体に広げる。そのうえで、19世紀中葉のアメリカを、視覚文化や劇場文化が、印刷技術によってもたらされたリニアな表現構造を崩壊させた時代として定義する。そして、博物学や身体医学、解剖技術などの科学分野の発展、そこから発想されたバーナムら興行主による人体実験的見せ物や蝋人形、催眠術などの大衆文化の隆盛、音楽文化の浸透、交通網の発展とそれによってもたらされた異人種の身体との出会いなどを重要な文脈として調査する。上記の目的の達成を踏まえたうえで、アメリカン・ルネサンス作品から、アフェクト的身体運動や情動の描写を抽出し、それと時代の文脈との関連を探る。これらの目的は研究代表者と分担者それぞれの研究活動、並びに、上述した平成26年8月の夏季セミナーにおいて達成された。加えて、平成27年度発行の図書において、国内のトップ研究者に加え、アメリカン・ルネサンス研究においてアフェクト理論をいち早く取り入れたシャン・ンガイ氏の論考を掲載できることになったことは、本研究プロジェクトにおいて特筆すべきことである。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は上記の活動を踏まえて、アメリカン・ルネサンスとアフェクト理論の関連を総合的に論じた図書を発行する。執筆者は既に決定しており、本研究のメンバーに加え、中村善雄、舌津智之、大串尚代、大和田俊之、新田啓子の各氏に寄稿をいただく。それに、シャン・ンガイのUgly Feelingsの第1章toneの翻訳が加わる。また、この図書の発行に先立ち、平成27年度も夏季セミナーを開催し、メンバー各自の構想をさらに明確化すると共に、それを批判的、建設的に高め、発行する図書の質の向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
ニューヨーク市立大学のエリック・ロト教授を招聘するための資金を確保していたが、本人の事情により来日できなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
ロト教授招聘の代りにスタンフォード大学のシャン・ンガイ教授から成果発表用の図書のための原稿を寄稿いただけるようになった。
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